第三話 くらしの中で
その二 母の日
この間の母の日には、フェイスブックの友達がアップした記事に母の日にプレゼントしてもらったというのが数件あった。特に女性は子供からのプレゼントの記事をアップする人が多い。
私は母の日とか誕生日に決まってプレゼントをしてもらうことはほとんどないので期待はしていない。
二人の娘の今の生活が親のことを気遣う余裕がないことを重々わかっているからだ。コロナ禍の中、独りは戦場化しているミャンマーで会社をやっていて、毎日危険と隣り合わせの生活をしている。しかも相棒はおらずミャンマー人の若い社員らを励ましてやらないといけない立場にある。
今にして思えば、女は頼れる相棒に守られているのが幸せだとこのごろとみに思うようになった。
娘二人とも相棒がいないので私との繋がりは密だけど、できれば頼れる人ができると良いなあと思ったりする。今はそういう相手を見つけて付き合う余裕はないだろう。
毎日の仕事と、一人は子供の進学や学業のことを考えるのに必死だ。それを逐一私に報告してくるから共に喜んでやる。今までは私自ら出かけて行って生活面の世話やお金の支援もしてきたが、今はそれは必要ではなくなっているようだし私も体力が衰えて自分のことで一生懸命だからそれはそれでお互いの安否さえわかれば良いのだ。
お互い今は幸せな気分でいられることはありがたいことだ。
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子