第三話 くらしの中で
その二
その時点で私は娘に誘導されてネットライフを始めたのだが、最初の10年ぐらいはSNSだった。最後に入会したSNSには今も在籍しているが、かつてのように日記を書いたり友達とメールを交わしたりすることはなくなった。
当時仲良くしていた若い人達はほとんど退会して今は居ないが、一人だけかなり前から必ず日記にコメントをくれる人がいた。彼だけは私の日記に必ず来て、記事に書く愚痴でも全面的に受け入れてくれるような力強く包容力のあるかなり年下の男性だった。
過去形で書いたのは、現在その人はそのSNSで日記を書くことができない状態になっている。ひょんなことから連絡の為にと繋いでくれたラインで時々メールをしていたが、最近では一人では何もできなくなったと書かれている。
余計なことを書くとどういう気持ちになるかわからないので、差しさわりのない短い文と写真を送ると返事は来るが、つい最近「こんなに苦しい目に合うのなら早く楽になりたい」とのメールが来た時は何と対応して良いかわからず悲しい気持ちになった。
今年の暮れまでメールの返事が来るかどうかわからない。
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子