第三話 くらしの中で
人それぞれだけど その一
色々なブログを作っているので、そのブログに来て下さるブロガーさんの記事を見る。目が疲れるので粗々と、主に写真を観る。
今日は最近作った短歌のブログを訪問してくださる人のブログを読んだ。ブログ自体フォロアーが多いブロガーさんだが、記事の一つに家族で乾杯している写真が目に留まった。妻が作ってくれた肴をつまみに一杯やってると書いてあった。
娘夫婦と四人での団欒の記事だ。
私は最近、家族で団欒という記事はぐさりと来る。
元々我家ではそういう雰囲気はなかったが、長女が大学生の頃までは夫と娘二人の四人で食事をしたときもあった。
その頃はまだ夫は病気ではなかったので普通の家庭ではあったが、次女が精神状態も立場もまだ不安定な状況だった。娘二人が帰省した時、姉娘に対して反抗的な態度をとったときもあった。
その内次女もどうにか先が見えてきて大学に入学し、熱心に勉学に励む大学生活を送り、卒業と同時に同じ大学の先輩と結婚した。
その頃の私の母は病気をする度に懇意な医師の病院に入退院を繰り返していた。
夫はといえば、定年を控えての一年前に脳梗塞で倒れ、心身共にがらりと変わった生活を余儀なくされた。
これからゆっくりできるという時期だったので、今にして思えば実に不幸なことであった。
定年を迎えた夫は妻と二人でのんびりと旅行を楽しむというケースも五万といただろう。そういうことも運命としか言いようがない。
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子