第三話 くらしの中で
その五 *アラフィフのドネイション
アラフィフの娘の生活が前向きになっているのをフェイスブックで見るようになった。それはミャンマーで色々な施設を訪問しドネイションをしていることだ。
会社のスタッフと同行して出かけた先での娘の明るい顔を見るとほっとする。
或る時は放置動物の保護施設であったり、貧しい村であったり、亦現地の子供達の健康を指導する施設であったりする。
先日は僧院が営んでいる幼少から十八歳までの男の子の養育施設を訪問していた。これまで数回訪問した施設とは違い、仏教に基づいた指導がなされ、子供達は非常に規律正しく生活していると書いてあった。施設内のどこもかもがぴかぴかに磨かれているとも。さすが仏教の基に生活が為されている所はどこの国も同じなのだなと思う。
娘は大柄な花模様のワンピースを着ていた。これまでの訪問とは違う雰囲気で、きれいだった。
厳しい情勢の中で見つけた奉仕という道、生き甲斐を感じるのはそれしかないと思う。負けていては生きていけない現状の中で見つけた道である。
人は頼れる相手を探して、たとえそれが少しばかり居たとしても満足はできないものだ。甘える心はどんどん人の心を弱くするからだ。自分から発信する他者への慈愛。それが人を強くするのだと今更にして感じている。
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子