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第三話 くらしの中で

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その四 アラフィフ娘の冒険的日常



先日フェイスブックにアップされていた娘の記事に冒険的なものがありました。私としては考えられない行動ですが彼女の気性ならありえることと納得しました。現在軍部との衝突で暴動が頻発しているミャンマーに駐在しているアラフィフ・50代のわが子のことです。
自分なら早々に会社を引き上げて如何に帰国できるかの手立てを考えていると思います。

彼女にはそのような構想はさらさらあらず、如何に現在のミャンマーで生き抜くかをむしろエンジョイするかのように思える日々の行動です。30数名の社員がにこにこしている写真をみるとリーダーシップが巧く取れているのかなあと思います。

最近新しく計画した会社の行事としてボランティアの訪問をやっているようです。
一回目の記事ではフェイスブックにいつもコメントをしている女性がされている動物の保護施設の訪問でした。1500匹の犬と300匹の猫が自由に暮らせる広い敷地は国民の寄付で賄われているとのことでした。

ミャンマーは貧しい国ではあっても慈悲の心が国民に浸透している国であり、娘の記事には優しいミャンマー人と書かれています。ミャンマーは国全体が仏教の信仰の中にあり国民はそれを礎に日々の暮らしが営まれている所以でもありましょう。

二回目の訪問は貧しい村に物資を届ける訪問だったようで、狭いでこぼこ道を何キロも走って辿り着いたとありました。トイレがとても汚くてそれが改善されるようにとも書かれていました。

三回目の訪問はどしゃぶりの悪天候の中、子供らを対象に歯磨きなどの指導をされている様子が掲載されていました。開放の小屋の屋根からどしゃぶりの雨が落ちている動画がアップされ、無事に帰れるだろうかとも書いてあったので少し心配でした。でも後のコメントへのリコメには、小舟に乗って川からの帰途中で動画も貼られていたので安心しました。

娘の会社のできることは僅かな金銭と物資の援助でしょうが、どういうきっかけでそういったボランティアを始めることになったのか聞きたいものです。
ボランティアに同行するのは班別の数人なので、本業の税理の業務は会社に残っている社員がしていると思われます。
今回もぼこぼこと飛び上がるほどのでこぼこ道と書かれていましたし、一回目の時は軍部の車とすれ違ったとか空からのヘリコプターの音にドキドキしたとありました。

私が会う人達は皆、心配でしょうとの言葉をかけてきます。
新聞やニュースだけ見るとミャンマーの状況はそのように思わせるものばかりですが、直に娘の行動を知ればそのような心のゆとりも持てる状況だと思えて今を生きている現地の人々の生活が伺えます。

 


作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子