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火曜日の幻想譚 Ⅱ

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194.店の変遷



 すごく好きだったパン屋さんが、閉店してしまった。もっちもちでおいしいパンが買えるお店だったのに。しばらくの間、悲しい目で跡地を見つめる日々が続いた。すると、何やら工事が始まった。どうやら新しく借り受けた人がいるようだ。

 またおいしいパン屋さんが来てくれたらいいな、と思っていたのに。新しく入ったのは、なんと相撲部屋。

 がっかりしながら部屋の前を通ると、一人の力士が鉄砲柱に激しくつっぱりをかましていた。その体はもちもちと肉がつき、ぶるんぶるんと震えている。そういうもちもちじゃないんだよなあ……。期待外れのため息をつきつつ、部屋の前を立ち去った。

 数カ月後、相撲部屋も早々にこの地を去ってしまった。さて、どうなることやらと思って跡地を見ていると、再び工事が始まる。今度は何だと思ったら、どうやらフォトスタジオになるらしい。

 開店して数日後、お店をのぞいてみるとグラビアアイドルと思しき人を撮影していた。おっぱいもおしりもすごくセクシーでむっちむちだ。男子としてはむっちむちも嫌いじゃないけれど、やっぱりもっちもちのパン屋さんがいい。

 再びため息をつきながら、スタジオの前を立ち去った。


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅱ 作家名:六色塔