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はなもあらしも 道真編

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 笠原道場を後にして、ともえは道真と幸之助と並んで歩いていた。
 気付けば靄は晴れ、綺麗な青空が広がっている。

「本当に二人ともよく頑張った。今日はゆっくり休みなさい」
「はい! ありがとうございました!」

 勝った事をようやく実感し始め、ともえは飛び跳ねたい衝動に駆られた。
 と、

「落ち着け」

 それに気付いたらしい道真がともえの腕を掴んで阻止する。

「何よ?」
「お前、今走るか飛ぶかする気だっただろ?」
「なっ!? しっ、しないわよっ! 子どもじゃないんだからっ!」

 見透かされていた事が恥ずかしくて、ともえはふいっと顔を逸らす。

「はあ……」

 盛大なため息が頭上で聞こえ、ともえは口をへの字に作って心の中で舌打ちをした。
 どうして道真君って変に鋭いのかしら。本気で飛び跳ねようと思ってたのに……

「父上」
「どうした?」

 ともえがぶつぶつ言っていると、道真がため息まじりに幸之助を呼ぶ。

「こいつは見ての通り、目を離すと何をするか分からない。仕方ないので俺が目付役になります」
「そうか! お前なら問題ない! さっそく智正に知らせよう! ともえさんもいいかね?」

 急に出てきた父の名に、ともえは驚く。おまけに二人の会話がさっぱり理解出来ない。

「え? 知らせるって、一体何をですか? 目付役ってどういう事ですか?」

 混乱するともえに、道真と幸之助は顔を見合わせる。

「ああそうか、ともえさんは知らされていなかったのか……」
「え?」
「道真が、ともえさんの婿になるっていう話しだよ」
「ああ! なーんだ、そういう事ですか! 道真君が私の婿に……………………て、ええーーーーーーー!?」