狐鬼 第一章
何棟か連なる、病棟の一つ
其の屋上に降り立つ白狐が横たえる巫女の顔を覗き込む
以前よりも白く、冷えた頬に触れるも
微かに開いた唇から漏れる吐息に安堵した
其れでも項垂れ、零す
「未だ人形か」
其れでも病室で交わした目は確かに、ひばりだった筈
「其れが、ひばりの願う事なのか」
「其れが、ひばりの願い事なのか」
壁も天井も血塗れの、あの光景を思い出す
其れなら自分は如何したらいい
其れなら自分は如何すればいい
項垂れたままの肩が震えるも
直ぐ様、立ち上がる白狐が屋上から駆け下りる
姿無き黒煙、吽煙と一戦を交えた結果
彼女の姿が消えた
幼女の姿も消えた
探しに行かなければならない