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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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おーまいごっど【完結版】

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「ほんとに知らないんだなぁ? 最近の若い子は」
「宮司さんですかね?」
「違うよ違うよ。僕は神様」
「へ?」
「神様?」
「そう。神社に住んでるって言えば、神様に決まっているでしょう」
二人は顔を見合わせた。
「へっへへ。またまたぁ」
 「ははははは」
「何が可笑しいの? やっぱり? 僕は神様に見えないよね」
「見えないですよ。神様なんて、こんな古臭い神社に神主さんがいたこと自体驚きなのに」
「古臭いって、失礼ですよ君。ここは5百年前から続く、由緒正しい氏神なのに」
神様はしょんぼりしながら言った。
「初めの頃はね、近くの村から大勢が毎日参拝に訪れてくれて、立派な鳥居や石段もあったのに、百年位前から急に誰も来なくなっちゃったんだよね」
「そうなんですか」

セニョールも話を合わせて相槌を打ってみた。
「それが原因で、僕は落ちこぼれて、この神社再建を目指して、人間界にやって来たってわけなんです」
「へえ、それで神様の格好してるんですか?」
「この装束も時代遅れだよね」

 おいおい。何の話をしておるのじゃ。ほんにこの神は要領が悪いわい。しかしこやつ、着ている白装束を、手に持っておった杓で軽く2回叩きおった。するとそやつは黒いスーツ姿に変わったのじゃ。おもむろに両袖を延ばし、自分の身なりを確認しておる。
 驚いたのは鈴を抱えた二人じゃった。まあ無理も無い。目に前におるのが本物の神じゃなんて、信じられるはずも無いわいな。

「なんあ、なな? 何したんですか?」
「どうやって着替えたん? 一瞬で」

 そしてそやつが手に持っていた杓を一振りすると、鈴は宙に舞い上がり、再び梁にくっ付いてぶら下がりおった。ほんでまた、その杓を胸に当ておると、杓は黒いネクタイに変化して、そやつは「うん」と頷いた。
 さすがは神よのう。落ちこぼれておっても、神力は衰えておらん。おや? 待て待て。なんじゃそれは?