小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

おーまいごっど【完結版】

INDEX|5ページ/27ページ|

次のページ前のページ
 

 当たりだ!

 次の門に辿り着いた二人は、さすがに門の下にしゃがみこんだ。
「まだ続いてるぞ。なんなんだよここは? セニョ。もういいだろ。引き返そう」
「でも、せっかくここまで来たのに」
セコビッチは、階段の下方を見て、もう戻ろうとしていた。
「あ! あったよ! 手洗い場」
セニョールは門の先に設置された、小さな手水場を見つけた。セニョールがその手水鉢を確認すると中に水は入っていない。
「水は無いけど、水道の蛇口があるよ」
セコビッチは重い腰を上げて近付き、乾きかけた傷口をセニョールに向けた。
そしてセニョールが蛇口を開くと、水が手水鉢に流れ落ちた。
「ちゃんと水も出た。よかった、ここで洗おう」
こうしてセコビッチは無事、傷口に付いた血と砂を洗い流すことができた。

「さあ、戻ろう」
「なんでさ? まだ僕の願掛けが出来てないじゃない」
「ええ? まだ上に登る気か? ここから拝んどけばいいだろ」
 セコビッチはハンカチで、腕から滴る水を拭き取りながら言った。
「それじゃだめだよ。ちゃんと本殿まで行かなきゃ」
セニョールは何かに取り憑かれたように、再び石段を登りだした。セコビッチはまたも仕方なく、その後に続いた。でも今度の石段はさらに細く長く続いていた。

「こんな神社、お参りする人なんかいねえだろうな」
 二人は、息を切らしながら、ゆっくりと歩を進めた。周囲の林が風を遮り、湿気の多い階段を、一歩一歩汗をかきながら、各々のペースで、やっと頂上にたどり着いた。
 セニョールはそこに設置された小さな木の鳥居をくぐって、セコビッチを暫く待った。
「やっと到着!」
「意外にちゃんとした建物があるじゃないか」
あまり広いとは言えない境内に石積み三段の上に、意外としっかりとした拝殿が建っている。
「しかし、古いな。長い間、手入れされてない感じだ」
セコビッチは、少々しかめっ面で言った。
「こういう古い神社ほど、ご利益があるって気がしない?」
「逆に貧乏神いそうだよ」

 セニョールは財布から10円玉を取り出し、賽銭箱に投げて、目の前に垂れ下がる鈴を振った。
 パン! パン!
「今から結衣さんに謝りに行きます。またビンタされませんように」
「え! 仲直りのお願いじゃなかったのか?」