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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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おーまいごっど【完結版】

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 セコビッチは自転車を鳥居の横に停めて、二人は境内へ続く階段を見上げて立ち止まった。
「何これ?」
「これ登んのか?」

 その階段は、幅3メートルほどのしっかりした石段だったが、まっすぐに上に続いていて、見上げると50メートル先に、古い門が見えていた。
「もう面倒だから、いいよ。このくらいのケガ」
 セコビッチは自転車に振り返り、スタンドを戻して歩き出そうとした。
「だめだよ。ばい菌が入ったらどうするんだよ。それに今から結衣さんと仲直りしに行くんだから、願掛けも出来るし、ちょうどいいじゃない」
「結構きつい角度だぞ、この階段」
セコビッチはセニョールに促され、渋々階段を登りだした。

「セニョ。お前毎回こうやって彼女に謝ってばかりだけど、たまにはガツンと言ってやったほうがいいんじゃねえのか?」
「そんなこと出来ないよ。結衣さんのほうが年上なんだし」
「その『結衣さん』て言うのもどうかと思うがな、俺は」
 セコビッチは、息をヒーヒー吐きながら、ため息混じりに話した。そうしてようやく門のところまで辿り着いて、その先を見てまた驚いた。
「何これ?」
「また登んの?」

 その門をくぐると、さらに上方50メートルに次の門が見えた。しかも、今度の階段は、ジメジメした土に石を積んだだけで、段差も均等ではなく、今にも崩れてしまいそうなほど古く、登りにくそうなものだった。
 セニョールは黙って登り出した。セコビッチは渋々その後に付いて、少し開き直ったように、
「上には何があるんだろうな。手洗い場無かったら、ただの登山だぜ」
「きっと御利益があるよ」
セニョールは上に見える次の門を見ながら言ったが、
(まさか、あの先にもさらに階段が続いてたりして)と思っていた。