sakura
部屋に入ると、さくらは
「お風呂に湯を入れてきますね」
と浴室に入った。明は冷蔵庫を開けてコーラを取り出した。懐かしい瓶である。
「何か飲みますか?」
とさくらに声をかけた。
湯を入れているからなのか、さくらから返事が返ってこない。明は浴室に歩き出した。湯気が部屋に入るのを防ぐために、扉が閉められていた。明は扉を開け
「飲み物は何がいいですか?」
と声をかけた。
「コーヒーをいただきます。あっ、ただのですよ」
さくらにコーヒーと言われると、明もホットのコーヒーが飲みたくなった。
「お湯は沸かしますよ」
明はポットに水を入れた。コーラの栓は抜いてしまったが、明は栓を閉めた。
「お風呂はあと5分くらいかかりますね。待つ間、コーヒーのお湯を沸かします」
「お湯は沸かしています」
「ごめんなさい。私がしなくてはいけないのに」
「そんなことはないよ。気にさせて、悪いのはぼくだよ」
コーヒーも風呂も5分ほどかかる。お互いが気を遣う、微妙な時間だ。
「テレビ見ていいかな?」
「どうぞ」
見たいわけで見る訳ではないから、電源を入れて映った画面を見た。
サンデージャボンだろう、お笑いコンビが出ていた。相変わらずコロナの話題である。
「お風呂に入れます」
「先に入っていい」
「すぐに行きます。お背中洗いますよ」
「ありがとう」
明が湯船に浸かるところでさくらが浴室に入ってきた。シャワーを浴び始め、豊満な体は若さで、肌にあたる湯をはじき返すように、ピチピチと音が聞こえてくるようであった。
「入っていいですか?」
「どうぞ」
湯船の湯がバスタブから、滝のように流れ出した。
さくらの肌に触れた明は興奮する身体を抑えることが出来ない。気持ちは嘘をつくことが出来るが、身体の反応は正直すぎると、明はつくづく感じた。
「72歳なのにお元気ですね」
明は手で隠していたのだが
「分かりましたか?」
「手で隠してますから」
さくらは明に体を寄せ、ペニスを掴んだ。
「楽しみだわ。歩いて疲れたでしょうから、マッサージもしますよ」
湯船を出て、体を洗う頃には、興奮は収まり、湯船で興奮した時の半分ほどの形に収まっていた。年齢とともに、興奮の状態は刺激していないと、持続する時間が短くなっていくと明は感じていた。