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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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sakura

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 しかし、さくらを探し当てたとして、どんな結末になるかは分からないのだ。出会いサイトにおいて、割り切りとか、大人の付き合いとか、明にはよく理解できない言葉であったが、前に付き合った彼女が教えてくれたには、女は売春、男は買春なのよ。その言葉には後ろめたさを感じるから、頭の良い人が考えたのよ。
 明はその説明でよく理解できた。もし、さくらに好きと言う感情を抱くことは、
この世界の仁義に反するかもしれない。明は既婚であり、その感情事態を抱く資格はないのだ。性欲を満たす、ただそれだけで満足しなければならないのだろう。
 明が優しさを求めたことさえも、本来なら面倒くささを生んだだけだったのかもしれない。女性が、さくらが求めているのは、お金なのだ。
  ごめんなさい。今は仕事に追われています。お会いする時間がありません。
 やっとさくらから返事が届いた。
 明はすぐに返信した。
 時間ができるまで待ちます。会いたいです。
 さくらからの返信は届かなかった。
 さくらは明が自動車販売のオーナーであることが、信じられなくなったのだ。 1度目は酒を飲むから、2度目は商談があるからと、電車で来ると返信があった時は、その言葉を信じていた。ホテルに行っても、別れてからもそれは気にしてはいなかった。きちんと、逢うたびに小遣 いがもらえればよかったからだ。
 明と別れてから、ベンツに乗ったカップルを思い出した。
 勉強でも負けず嫌いだったさくらは、部屋を譲り、お金をもらってしまった自分が、惨めだったなと感じたのだ。もし、明と会う約束をして、また、歩いたり、タクシーを使うのは嫌だったのだ。
 さくらは自分が奈落の底へ落ちていきそうな気分になっていた。同じ体の付き合いにしても、同じような環境の女性たちが、羨ましがる彼を探そうと決めたのだ。さくらからみて、明がそれに当てはまらないと言う訳ではないが、2度会いながら2度電車だったことが、さくらには納得しがたかった。
作品名:sakura 作家名:吉葉ひろし