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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに

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「お疲れさまでーす」
 恵美莉は学生相談室に駆け込んで、開口一番にそう言った。
「ああ、お疲れ。今日も元気だね」
そう返したのは、この日のカウンセリング当番の桧垣助教授である。
「やばかった。ついさっきまで彼氏んとこで寝てました」
「イヒヒ、昼間っから仲いいね」
「そうじゃないですよ。ホント寝てただけです。ホントに」
息を切らせながら恵美莉は平静を装ったが、春樹のアパートからここまで全力ダッシュして来ていた。中学時代は陸上部だった恵美莉も、高校から大学2年の今までは運動はしていない。その表情を見た桧垣は、
「顔が紅潮してると、あの時みたいにカワイイね」
「えへへ、走るのは嫌いじゃないけど、寝ながらの方がいいですね」

 露骨な会話はいつものこと。桧垣は妻帯者であるが、恵美莉は抱かれている。もともと恵美莉はこの助教授に好意を持っていて、このアルバイトに付いたのだが、恋愛相談を持ち掛けているうちに、関係は深まってしまった。初めに誘ったのは他でもない恵美莉の方だ。桧垣は一旦断ってみたものの、後悔が立ち、やっぱりこんなことになってしまっていた。しかしその関係は誰にもバレず継続中である。
「今日は予約が4人いるから、ちょっと忙しいよ」
桧垣がニヤケてそう言うと、恵美莉から近付いて、
「仕事ですよ先生・・・」
今日はイチャイチャする時間がないことを残念に思いながら、相談者が来る前に、一応抱き合って、キスだけしておくのだった。

     ・
     ・
     ・

「晩御飯はどうする?」
「今日は彼氏が部屋にいるんで、帰って晩御飯作ってあげないといけないんですよね」
 学生生活に悩む生徒の相談を受けた後、その内容をPCにまとめる作業をしながら、桧垣は必ず恵美莉を食事に誘う。相談者がいなくなった部屋では、どんな会話も遠慮なくできるのだ。
 アルバイトの時間は18時まで。その後食事をするにはちょうどいい時間なのだが、恵美莉はあまりこの誘いには乗らない。と言うよりは、遠慮していると言った方が適切だろう。週2~3回のバイトと言えど、本命彼氏ではない相手にべったりにならないよう、彼女のモラルではギリギリの線を引いているつもりだった。