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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに

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「あんただって、ちゃんと彼氏はいるじゃない」
「私も秘密作りたいっ!」
「なんでもべらべらしゃべるくせに。でも春樹君には絶対内緒だからね!」
「分かってるけど、菅生君今日来てる? 見てないよ」
「そりゃ来てるんじゃない? 同じ授業がないから会ってないけど」
「連絡は?」
「全然ない」
「LINEしてみれば?」
「なんだか怖くて、LINE見られないもん・・・・・でも、やっぱりそうする」

 恵美莉はメッセージを送ろうとして気付いた。
「あれ? 既読になってない」
昨日早朝、春樹に送信したメッセージが、未だ既読になっていないことに気付いたのだ。
「どうしたのかしら」
恵美莉の脳裏に不安がよぎった。
「何があったの?」
恵美莉のその表情に、みのりも心配そうに聞いてきた。
「ここしばらくプラモに夢中で連絡もろくになかったんだけど、一昨日完成して、昨日はもうゆっくりしてるはずだったのに、LINEを見てくれてないの」
「あんたもそうじゃん。ひょっとすっと、菅生君も浮気してたんじゃない?」
「え? まさか」
その一言を聞いて、恵美莉はとてつもない不安に駆られた。自分の行動を差し置いて、相手のことをどうこう言える立場ではないことは、十分承知していたが、これは罰が当たったのではないかと感じるのだった。
「電話してみれば?」
「うん」
恐るおそる電話をかける恵美莉。スマホの向こうでコール音が続く。暫く待っても春樹は出ない。
 恵美莉は立ち上がって、春樹の授業の教室へ向かった。みのりも黙って付いて来た。

 その教室に着くと、春樹と同じ学部でみのりが所属する剣道部の主将、かつ本命の交際相手である小峠先輩がいた。
「コトちゃん(小峠)。今日、菅生(春樹)さん見た?」
そう、みのりが聞くと、
「え? 今日も来てないみたいだけど、連絡着かないの?」
小峠は恵美莉を見たが、恵美莉はその質問に答える暇もなく、走り出した。

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