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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに

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 ヒデキからの電話はすぐにかかって来た。恵美莉は歩きながらそれに出た。
「もしもし。おはよう。フフフフ」
[何が可笑しいんだ?]
「ええ? なんだか今、ヒデキさんと電話するのって変に思えて」
[浮気の後だからだな]
「へへへへへへ」
[お前、見かけに寄らずやるな]
「違うの。昨日は本当に家に帰るつもりだったんだから」
[羽伸ばすって話は?]
「あれはー。終電に乗っちゃったら、もう戻れないでしょ。だから捨て台詞のつもりだったのに」
[刑事がいなかったら、戻って来てくれてた?]
「いや、それはねぇ」
[それはね~って、無いってことかよ]
「酔っぱらってたから分かんないですよ」
[昨日はどこで寝たん?]
「刑事さんのマンション」
[くっそー。俺を振ってそんなとこに行ってやがったのか]
「ごめん。っていうのも変ね」
[お前はもう、店の出入り禁止にする]
「ええー! それはやめてよ(笑)」
[俺はちょっと、ヤキモチ焼いてんだぞ]
「ヤキモチって。ハハハハ」
[マジで気になって、この店で寝れなかったんだ]
「・・・この店? ってことは、まだお店にいるの?」
[ああ毎日、事務所で仮眠してから帰る。お前は今どこ?]
「お店の前・・・」
駅の目と鼻の先。バーのあるビルの3階の窓が開いた。顔を見合わせる恵美莉とヒデキ。
(この状況で、素通りは出来ないわよね・・・)

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