EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに
(何? この自信。いい人だけど、女遊び激しいからね)
恵美莉は一瞬考えた。
(確かにヒデキさんはイケメンだわ。前に誘われた時は嬉しかったけど、今はそれほどでもないや。あたしが成長した証しよね)
駅に近付いて、コンビニに寄って軽い朝食を買うべきか迷った挙句、春樹の部屋で一緒に食べるべきだと考えて、そのまま電車に乗った。そして何が食べたいか、春樹にLINEで確認してみることにした。まだきっと寝ているので、電話はやめておいた。
>菅生春樹
6:45[おはよう。起きてる?]
そのまま既読にならなかった。
(やっぱり寝てるのか。あたしも一緒に寝よう・・・あ、しまった着替えがない)
自分の着ている服が合コンの時のままだと気付いて、
(え、ヤバイかな。こんな気合の入った服のままじゃ。そりゃヤバイわね。時間が早すぎるから、家に帰ってないのがバレちゃう)
日曜日の朝早の車内は空いていた。座席に背中で座るように浅く腰掛け、だらしない格好でスマホを見た。ヒデキ・マスターのSMSは開いたままだった。
(忘れてた。削除する前に、一応こっちにも返信入れとこっと)
SMS
ヒデキさん
09011XX56XX
[ごめんなさい。
返信に気付いてませんでした]
✓20XX/12/10 6:47
(さてと、どうしようかな。みのりの家は実家だし、そこに泊まって来たってことには出来ないだろうな。それに、みのりは春樹君ともよくしゃべるから、うっかりボロ出す危険も。みのりはおバカだから。・・・じゃ、やっぱり奈美のマンションがいいか。・・・いや待てよ。城西にあるマンションからじゃ、あたしの家に帰った方が近いのに、わざわざ春樹君ちに寄るのは不自然じゃないかしら)
作品名:EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに 作家名:亨利(ヘンリー)