EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに
第4章: 日曜日の出来事
翌朝明るくなるとすぐに、恵美莉は三番刑事のマンションを出た。それは寝起きにもう一戦求められるのを避けたかったから。朝からいい天気だったが、恵美莉の表情は晴れない。
さすがに二晩連続の浮気に、良心が咎めているのだ。スマホに春樹から連絡が来ていたらどうしようかと心配して、その画面をまだ確認出来ずにいる。
(あああ、あたしダメなやつだな。お酒強いはずなのに、判断力はまともじゃないなぁ。でも西野君(三番刑事)も、あれだけ優しかったら仕方ないじゃない)
自宅に向かって歩き始めるも、朝帰りでは実家の両親もどう反応するか気がかり。しかも今日は日曜日、父親もいる。
(春樹君とこ行こうかな。その方がいいや。どうせ今日、コンクール出しに行くから、あたしは部屋で寝てられるし)
Uターンして、駅に向かって歩きながら、ぼーっと自分の変化に付いて考えを巡らせた。
(最近、節操がなくなってきてるけど、それは中学から7年も付き合った颯介と別れた反動だわね。春樹君は淡白だし、物足りないのかな?)
プラモ作りに没頭する春樹のことを考えながら。
(いっそ、西野刑事に乗り換えよっかな。5歳も年上だけどな。・・・ヒデキさんも5歳上だから、悪くはないな。・・・そんなこと言ったら桧垣先生は20歳以上離れてるし。・・・でも春樹君可愛いし、別れたくはない。・・・・・・一応連絡しとこ)
そう考えて、スマホのメッセージを確認した。
「あれー? またSMS来てる」
スマホを開くとそこに昨夜の続きで、ヒデキ・マスターからのメッセージが届いていた。春樹からのLINEメッセージはなかった。
SMS
ヒデキさん
09011XX56XX
[羽を伸ばすのもいいけど、たまには
俺んとこに羽を休めに来いよ]
20XX/12/09 23:27
作品名:EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに 作家名:亨利(ヘンリー)