EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに
「滅多にしないよ。休みがいつとれるか分らない仕事だから」
「じゃ、今日は?」
「一昨日、突然誘われて、たまたま今日暇だったから。ずっと前に誘われても、予定なんか立てられない」
「そういうことか、じゃ、ラッキーだったんだ」
エレベーターを出る直前で、恵美莉のスマホが一瞬うなったのに気が付いた。静かになった瞬間だったので、三番刑事もそのバイブ音に気付いてしまった。
恵美莉はそれを確認するべきかどうか、一瞬迷った。
(きっと、春樹君のLINEだ。間が悪いけど、このタイミングはぎりセーフかも。だってこれからこの刑事さんとは別れるんだから)
そう思って、スマホを確認することにした。すると予想に反して、SMSの着信メッセージがあった。相手はつい今まで一緒だったマスターのヒデキから。
(なんだろ?)
恵美莉は怪訝に思いながら、そのメッセージを開いた。
SMS
ヒデキさん
09011XX56XX
[後で戻って来れないかな?]
20XX/12/09 23:23
(なんで? 困るじゃない)恵美莉は酔っぱらった頭で考えた。
「ちょっと待てくださいね。大事な連絡」
三番刑事にはそう言って、少し距離を取った。
[何の用ですか?]
✓20XX/12/09 23:23
[久しぶりにゆっくり話したくて]
20XX/12/09 23:23
作品名:EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに 作家名:亨利(ヘンリー)