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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに

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「やめてよマスター。あたしそんなことしないから」
横にいるどうでもいい三番刑事に聞こえるように話している。
「他の皆はいい感じになってるだろ。お前もホラ。ホラ」
などと煽るマスターを、三番刑事は苦笑いで聞いているのだが、マスターにうまく誘導されて、恵美莉にはもう5杯以上奢らされている。恵美莉もマスターに調子を合わせ、店の売り上げに貢献していくのだった。
 三番刑事は、マスターと恵美莉の会話をほとんど聞いているだけで、お金だけ払わされているカモに過ぎなかった。

「あれ? 奈美は?」
「30分ぐらい前に帰ったよ」
マスターがそう言うと、
「うそ! あたしに一言もなしに?」
「ああ、人差し指、しーってしながら、こっそり出て行ったけど」
「そろそろ終電だから、あたしも帰ろっかな」
「じゃ。送って行きますよ」
三番刑事がそう言うと、
「駅まででいいよ」
とその先は軽く断るのだった。
「じゃ、マスター、みのりとキャンさんによろしく言っといて」
「了解。ありがとうございました。また来てな」

 恵美莉と三番刑事はこっそりと店を出た。
「ゴメンねぇ。かなり奢ってもらっちゃって」
「いえいえ、こちらこそ楽しかったですよ。遅くなっちゃったね」
「こちらこそ、付き合わせたみたいですみません。明日仕事ですか?」
二人はエレベーターに乗った。
「いいや、明日は休みだよ」
「へえ? 警察って休みがないイメージだけど」
「毎日、犯人追っかけてるわけじゃないから」
「そうなのか・・・あれ?」
「どうしたの?」

(あれれ? そう言えば、今日は誰も「逮捕しちゃうぞ」って言わなかったな)

「刑事さんて、合コンとかよくするんですか?」