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58の幻夢

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36.代替案



 深夜。大抵の人がそろそろ眠りにつくであろう時間。私は、電灯の消えた自室で、窓を遮るカーテンを少しだけ横にずらし、外を眺めていた。ガラス一枚を隔てた外の世界では、雨によって何もかもがしとどになり、その雨音の心地良いリズムが室内に漏れ聞こえてきている。


 雨……。まったく、よく降るよなぁ。いい加減、こんなに降ってたら飽きると思うんだよな。降らせてる方も。も少し違うものが降ってきても良いんじゃないかと思うんだわ。

 例えばさ。音が同じってことで『飴』が降ってくるとするよね。きっと子供は大喜びだよ。大阪のおばちゃんも必ず持ってるらしいから助かるよ。ああでも、暑い日は溶けて道路がベタベタになっちゃうか。

 それなら、同じ甘い奴で『あんこ』とかどうだろう。結構使い途多いし、和菓子作りが好きな人がいる家は助かるかも。でも、見た目的に紫色で外が魔界みたくなっちゃうかもなぁ。

 ってことで、わりと無難な色の『マシュマロ』なら有りなんじゃないか。柔らかいから楽しそうだし、雪合戦的な遊びもできそうだし良い気がする。でも炙って食べる人もいるんだっけ。火をつけて火事になっちゃうや。

 火を使わないで済むものなら『ヨーグルト』はどうだ。ヨーグルトまみれの人って、なんかちょっとフェティッシュでエロい気がするし。でも冷静に考えると、雪の更にめんどくさい版って感じしかしないな。

 少しヨーグルトに似てるし『マヨネーズ』って手もあるな。マヨラーの人とか大喜びで、山盛りのから揚げとか持って庭を駆け回りそうだなあ。でも、ぬっちょぬっちょするし、油っぽくて気持ち悪くなる人も出ちゃうかも。

 そうだ、食べ物以外で考えよう。『柔軟剤』なんて良いんじゃないか。干した洗濯物がふかふかになってくれるし、別の日に『洗濯のり』が降るとさらに良い。でも結局濡れて干し直すから二度手間だし、衛生的にも問題あるか。

 うーん。そんなら文房具とかどうだ。例えば『手帳の中身』とか。わりと頻繁にメモ欄とか補充できるとありがたいよな。あれ肝心なときにないからさ。でも最近はみんなスマホに記入しちゃってるから、時代的にそぐわないかもなあ。

 いっそ、物体じゃなくて抽象的なものが良いんじゃないか。『やる気』とかさ。たるんでる時、「ちょっと外行って浴びてきますわ」ってできるのは良いぞ。これならきっと会社も楽しくなる……。

 って、明日も会社じゃねえか。寝よ寝よ。


作品名:58の幻夢 作家名:六色塔