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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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僕の弟、ハルキを探して<第二部>(完結)

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「どうしよう…」

「吹雪、泣くんじゃないよ。アタシたちがアイモを支えてやらなけりゃ」

その日僕たちは、僕とロジャーの部屋に集まっていた。吹雪は泣き出して、それをヴィヴィアンが慰める。僕たちは黙り込んでいた。

「アイモを元の家に返すように、兵長に直談判してやる。元はといやあ、あの冷血漢がアイモをここに受け入れちまったからこうなったんだ。責任はあいつにある」

ロジャーはそう言って立ち上がり掛けた。そこをジョンが引き止める。

「待てよ。今騒ぎを起こしたら、アイモは混乱するだけかもしれない。まずは良くなってからの話だ」

「そんな悠長なこと言ってられるかよ!ここに居る限り良くなんてなれるはずがねえ!あいつを子供のままで居させてやれるのが一番いいに決まってんだろうが!」

「二人とも、言い争いはやめて下さい。少しだけ落ち着いて、まずはみんなで一通り意見を出してからにしましょう」

僕がなんとかなだめると、ロジャーとジョンは腰を下ろしてくれた。ロジャーはあまり納得がいってなかったようだけど。

「アイモは…闘いたがっている。それはそうだったんでしょう。でも、やっぱり彼にはそんなことは無理だったんです。それでも彼は、力を持っている限りは闘いを絶対に諦めようとはしない。その終わりに何が待っているのかは、みなさんも心配していると思います。多分、あまり僕たちの予想をはずれないでしょう…」

僕がそう言うと、吹雪はまた泣き出した。

「ちくしょう…どうしたらいいんだ…それじゃあアイモはこのまま…」

ロジャーは思い切り頭を掻きむしる。その時、僕たちの部屋の扉が控えめな音でコンコンとノックされた。ヴィヴィアンが扉を開けに立とうとすると、ひとりでに扉は開く。現れたのは、兵長だった。

「兵長?どうしたんですかい?」


「アイモが居なくなった。門番が彼を引き留めようとしたが、何も言わずに門を出てしまった。後を追っても、見失ったらしい。君たちは探しに出てくれ。私は監視者の方にも命令を出す」


「なんだって!?」

僕たちはどよめき、いっぺんに部屋から飛び出した。