僕の弟、ハルキを探して<第二部>(改訂版)
気が付くと、僕たちは土のような岩のような地面に足をつけて立っていた。そこは、森林のようだった。でも生えている木はどれも見たことがなく、それに、木の葉はすべて真っ赤だった。
「ここは…」
「移動は成功したようだな」
兵長が僕の隣で満足したように頷いた。僕は慌てて周りを見回し、全員が揃っているか確認した。
居る。ちゃんと居る。でもみんな、見た事もない光景に驚いて、ロザリーナは少し怖がっているようだった。
「見て下さい…空が…!」
ロザリーナはそう言って上を指差す。僕たちが見上げると、アイモは「ああっ!」と叫び声を上げた。
それは、真っ赤な空だった。どう見ても夕焼けには見えない、血のように赤い空が広がり、煙のようなものがところどころ漂う空は、不気味で恐ろしかった。
「早くハルキ様を探そう」
僕たちはタカシを先頭に歩いて、何度も違う次元へと移って行った。その間に、僕は少しずつ、次元の遠さや近さを測れるようになり、その結果、自分たちの元居た世界に近い場所に移って、水や食料を補給することが出来た。
別の次元に転移する時には、全員がロザリーナの持つ手鏡を覗き込んで、僕が右手をかざす。そこに着いたらタカシの反応を見て、その次元をイワンが透視しながら、春喜を探す。
そうしてくるりくるりと回る世界の中を、僕たちは旅していった。
どうして見つからないんだ。
そんな苛立ちが、全員の間に広がっていた。
ロジャーはカリカリして、ロザリーナとアイモはふさぎこみがちになり、ジョンは黙りこくって、兵長でさえ苛立ちを隠せない時もあった。
数限りなく存在する次元を一つ一つ、人間一人だけを探しに移動していく。
それは途方もない、それこそ永遠の時間が必要なことだ。僕は後悔した。
こんなことに、いつまでもみんなを巻き込んでいていいのだろうか?それより、人々を元の世界に全員移して、僕は弟のことを諦めればいいんじゃないだろうか?
そう思うたびに、最後に見た春喜の悲しそうな、悔しそうな顔が浮かんで、僕の頭を離れなかった。
ある次元に移った時、それは起きた。
僕たちが辿り着いた場所は森の中で、それこそモンスターだらけだった。
「あぶない!」
まず初めにアイモがそう叫び、全員が降り掛かってきたモンスターの鉤爪を避けた。
「運が悪かったな!俺は今、虫の居所が悪いんだぜ!」
ロジャーがそう叫び、そこら中を埋め尽くすモンスターを焼いた。久しぶりに彼の目が、赤い熱に燃える。
「やっとおでましだな」
こちらに向かってくる分を、兵長は挙げた片手でぴたりと止めて、それをジョンが切り裂いた。
アイモはあとからあとからやってくるモンスターを持ち上げておいて、間を持たせる。久しぶりの闘いだった。
「いってえなこんちきしょう!お返しだ!」
作品名:僕の弟、ハルキを探して<第二部>(改訂版) 作家名:桐生甘太郎



