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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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僕の弟、ハルキを探して<第二部>(完結)

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宮殿へ向かう道々、僕たちは話をしていた。

「春喜が目覚めなくなったってどういうことですか?」

オズワルドさんは青ざめていて、それでも駆り立てられたように、僕を連れて宮殿へ向かう門へと足早に歩いていた。

「わからないのです。私たちが宮殿の扉の前に立っても、扉は開きません。それで、貴方様ならもしやと思いまして…」

そう言ってオズワルドさんは僕を見たけど、僕にその扉が開けるかはわからないし、開けなかったとしたら、春喜に会えなくなるんじゃないかと思って、僕は怖かった。





扉は、開かない。僕が扉の前に立ってもそれは同じだった。

淡く光る白い扉はじっと動かず、オズワルドさんはがっかりして、さらに不安そうにうつむいた。背の高い彼のうつむく様子で、彼の顔が真っ青なのが、むしろ僕にははっきり見えた。

僕は思わず気が逸り、両手で扉を押そうと手を伸ばす。


その時、青い閃光のような光が僕の体を包み、僕を扉の前から吹き飛ばした。


「ああっ!」

思わず痛みに悲鳴を上げる。全身が一瞬のうちに火傷をしたように、ビリビリと痛んだ。

「お兄様!」

慌ててオズワルドさんが駆け寄って来て、僕の傷を治そうと両手を伸ばしてきてくれた。ああ、目の前が真っ赤だ。きっと僕は今、顔中が血だらけなんだろう。


春喜、どうして僕が来たのに扉を開けないんだ?お前は今、どうしているんだ?


僕は体中が痛み続けるのに喘ぎながらも、ベッドに横たわってじっと目を閉じている弟を思った。

失意と願いが混じり合い、体の痛みに打ちのめされ、僕はオズワルドさんが体を離すまでぼーっと横たわっていた。




僕の治療が終わった時、オズワルドさんはすっかりくたびれてしまったように地面に片膝をつき、重い頭を支えるように額に手を当てていた。

「すみません…」

僕はそう言ってオズワルドさんに謝ったけど、胸の中は春喜のことでいっぱいで、オズワルドさんはそれを察してくれていたのか、笑ってくれた。

「いえ、これしきのこと、なんともございませんよ。一旦…街へ戻りましょう」

「はい…」



僕はそれから、直接家に戻った。もう一度兵舎に行ったところで、争いに巻き込まれるだけだとオズワルドさんは言った。それはそうだと思うけど、このまま仲間と心がはぐれてしまうのは嫌だった。

でも、あの状態の場所に戻っても、僕は憎まれるだけだろう。自分が逃げ腰なのは分かっていたけど、僕には方法が思いつかなかった。