小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

日記③

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
2020.12.22

職のこと、今取ろうとしている資格が転職に役に立たない可能性が浮上したこと、グルホを追い出されるかもしれないこと、引越し先も安定した職もないこと。
頭をぐるぐると回り、整理しようと自己カウンセリングを行おうとノートを開いたら、遺書が書かれていた。水も喉に通らなかった10月のことで、硫化水素での自殺を図った日付だった。
そこには、綺麗事が感心するほどすらすらと並んでいた。
家族、友人、恋人への感謝、自分は幸せだからこそ死を選ぶ。惨めな気持ちで死にたくない、今抱えている幸せを手に自死を選ぶのだ、と。

そんな、自分を納得させるためだけの呆れた文章を見ていたら、自己カウンセリングも面倒になってしまった。

私は死を選ぼうとした10月と変わらず、いっぱいいっぱいで、けれど違うのは、心に偽りのない幸せを感じている。

焦らず、ゆっくりと考え能力を培いいずれ安定した収入の仕事を探せばいいし、それまでにくたばってしまったのなら、そういう運命の人だったと言うだけの話だし。


時折、惨めだと思う。それは、過去の身体も心も不自由無い自分が記憶に確かに居るからで、でも、必ず私が心身共に不自由になったのには、きっと意味があるからで、成し遂げなければならない何かがあって、それが同じ状況にある人に勇気を与えられるのかもしれない。全て希望的観測で、自分の生を納得させるためだけに過ぎないけれど、漠然としていても、前向きに奮い立たせられるうちは、頑張って生きていきたい。


作品名:日記③ 作家名:sor