7人目。
「貴公ひとりだけが、桃太郎ではない」
俺と姿形が同じ男は、右手を頬にあてた。
「7人目なのだよ。貴公は」
「え?!」
「因みに某は、3人目だ」
「そ、そんな…」
「まあ 驚くのは当然だ。某もそうだった」
<3人目>は、話を続けた。
「現世の鬼退治のために天から遣わされた存在。それが我々桃太郎だ」
「この世界には…桃太郎が6人いても退治し切れない程……鬼がいるのか?」
「最初の桃太郎は、鬼ヶ島を制圧した。当然、それで鬼が退治出来ると考えてだ。…が 少数の鬼が──」
「落ち延びた?」
「そう。その後 山岳地帯で再起を図り、都の治安を脅かす存在となった」
「要するに<1人目>が…下手を打った訳だ」
「─ 否定はしない。が、何も状況が判らない中、ただ吉備団子を持たされ、犬・猿・雉だけをお供に、鬼退治に行かざるを得なかった<1人目>を、某は責める気にはならない」
「。。。」