7人目。
「おい。」
俺が、鬼退治の旅を始めて数日後。
街道で、ただならぬ気配を感じた。
「俺の後ろに立つな!」
直ぐに刀を抜ける構えで振り返った視線の先。
そこに立っていた男の装束に、驚愕する。
頭には、中央に桃の紋の入った 白い鉢巻。
羽織っているのは、肩に桃の紋が染め抜かれた 緑色の陣羽織。
背中には<日本一>の旗指物。
加えて、その姿形。
あろうことか、全が俺と同じだったのだ。
「き、貴様は何奴だ!?」
「─ 桃太郎」
「何を言う! 桃太郎は 俺だ!!」
「…おじいさんから、聞いてないのか?」
「な、何をだ?!」
「やはりお年かな、おじいさんも──」