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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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シロアリバスターズ

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手順1 さすがの営業手腕



 ピンポーン

 郊外の一軒家の呼び鈴を植村が押す。
「はい」
玄関から主婦が出て来る。
「あ、お忙しいところすみません。実は今、ご近所でシロアリ消毒をしておりまして、その家の床下の被害があまりにヒドイもので、周辺の家を調査のために点検させていただいているんです」
ニヤニヤと笑いながら、わざとゆっくり話している。
 大きなリュックを肩にかけた作業服姿の訪問者を見て、その主婦は一瞬、怪訝そうな表情になると、
「あ、点検と申しましても、そう大層なものではありませんで、家屋の周囲を少し見て回らせていただきたいんです。もちろん料金はいただきません。あくまで無料調査です」
 突然のことに主婦は、どうしようか混乱する。恐らく今から言い訳を考えるのだが、悪徳営業マンはそんな隙を与えない。
「お時間は10分ほどで済みます。お手間は取らせません」
そう言うと植村は、チラシを一枚手渡して、主婦がそれに目を向けた隙に、リュックから小さなバールを取り出すと、
「じゃ始めさせていただきます」
そして勝手に玄関の柱の足元をバールでコンコン叩いて、それらしい行動をとるのだった。
 主婦は不安の中、無料だということで、点検を終えてサッサと帰ってほしいと思うだろう。しかしこの訪問者に家にイタズラでもされては困るので、一緒に付いて歩こうとすると、もうその術中にはまっているのだ。