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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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シロアリバスターズ

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 いざ作業が開始されると、今日の植村にはすることがもうない。
アルバイトはまず床下に入って、床下構造木材にドリルで穿孔(穴あけ)作業を開始する。
 同時に床下に入っている岩田は、電線を大引(床下構造材)にステイプル(二股の釘)で固定して行く。
 小寺は家の外から、風呂場の下の通風口のコンクリートにドリルで穴を開け、アンカーを埋め込むと、換気ファンをネジ止めしておく。
 始めのうちは植村も周囲をうろうろしているが、暫くすると時間を持て余すのだ。こんな時、植村には二つの行動パターンがある。
 その1、工事が行われている間に、近所を営業活動で回る。
 その2、この家の住人と無駄話などして時間をつぶす。
 今日は二つ目のパターンを選択した。雨の日などはそうすることが多いが、今日は、小寺と岩田も床下換気扇の設置のために現場に来ている。それが終われば彼らに営業させた方がいい。
 仮に家人がおばあちゃんの場合などは、話し相手になってやると信用されて、もっと他の工事契約が取れることもある。しかし今日は若い主婦だ。植村にとっては最も好きな状況なのだ。

 和室の縁側に座って、暇そうにしている植村に主婦が気付き、ペットボトルのお茶とお菓子を持って来る。たまにビールや酒を出す家もあるが、飲むわけにいかないので、そういう時は持って帰ることも多い。
「皆さんでどうぞ」
主婦はそれらを載せたトレーを、和室の座卓の上に置いた。
「ありがとうがいます」
「お昼はどうされるんですか?」
「この辺はレストラン少ないから、弁当買って来てます。ここで食べさせてもらっていいですか?」
「ええ、ご遠慮なく」
「でも換気ファンは午前中に取付け終わりますから、二人は次の現場に移動します」
 植村はそう言って、和室の座卓に近寄ると、