シロアリバスターズ
「じゃ早速床下に入って、電線這わして来ます」
岩田が合羽を着て、長い電線を引き延ばし、和室の穴から床下に入って行った。
その間に小寺は、
「奥さん、この床下ファンのコントローラーをどこに設置したらいいですか?」
「コントローラー?」
「あ、タイマーセットとか、家の中から出来た方が便利でしょ」
植村が言葉を挟んだ。
「どこがいいんでしょうか?」
「大体は風呂周辺に付けますんで、脱衣場の柱に付けることが多いです」
そう言うと植村は、この主婦を連れて脱衣場に向かった。
脱衣場はきれいに整頓してある。恐らく見られた場合に備えて、頑張って掃除したんだろう。植村はその床を指さして、
「確かこの辺りの基礎コンクリートに通風口があったと思うので、そこに換気扇付けますね。コンセントはちょうどここにあるので、その真上のこの辺りにコントローラー付けたらどうでしょ。邪魔になります?」
狭い脱衣場に二人が立っていると、距離が近すぎて、主婦は伏せ目がちに。
「そうですね。大丈夫です」
「じゃ高さは奥さんの目線ぐらいにしておきます」
そう言うと、わざと主婦の目の前に手の平を近付けて、
「この高さくらい」
主婦は植村を見上げた。植村はタイミングよく主婦の目を見て笑いかけた。
「じゃ、後は我々で段取りしますんで、奥さんはゆっくりしておいてください」