小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

シロアリバスターズ

INDEX|25ページ/34ページ|

次のページ前のページ
 

 そう言うと主婦は散水ホースを手にして、植村に駆け寄る。彼女はすでに植村に対しては安心感を持っていた。初訪問の日から何度かLINEでもやり取りをしていたからだ。
 植村はホースを受け取り、タンクまで伸ばして、中に入れた薬剤の原液を希釈し始めた。
 アルバイトの施工士は一通り準備を終えると、早速ドリルを手に持った。
「奥さん、玄関の柱の下の方にドリルで穴開けさせてもらいますね。この柱は地面に直接着いてるんで、薬を注入しといたほうがいいんで。穴は木栓で塞ぎます」
 この作業の痕跡が見える事を嫌がる客もいる。それなら柱に薬を塗っておくだけでもいいのだが、玄関に木栓が見えると、他の業者が来た時の縄張りアピールにもなるので、出来るだけ行うようにしている。アルバイトも慣れたものだ、他の作業者が準備を続ける中、さっそく工事をし始めた。
「あ、もう始めるんですね」
「ええ、作業の打ち合わせは、車の中でしてきましたんで」
 主婦は皆の手際の良さに呆気にとられていた。それもそのはず、さっきピンポンを押してから、まだ5分くらいしか経っていない。

「それと床下に入るのに、また和室の畳を上げさせてもらってもいいですか?」
「はい。どうぞ、おねがいします」
テキパキ動くアルバイトは、縁側のサッシを開けて和室に入った。

「床の補強が必要になったら、持って来た材木を切る音がうるさいですけど、大丈夫ですか?」
「やっぱり床の手直しもするんですか?」
「出来るだけ無料サービスで。材木も端材を持って来たんで」
植村はにこやかにそう言った。