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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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シロアリバスターズ

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「ええ、旦那もやってもらおうかって、話してたんですけど。一度ちゃんと見積もりを出していただいて、考えたいって・・・」
 植村は心の中でほくそ笑んだ。話など全く聞かずに、金額に負けて断る家も多いのだが、この家は金を持っていると確信していたからだ。昨日、家に入った時に家具や調度品を見て、金銭的余裕のある家だと思っていたのだ。
「じゃ、正確に面積を図りますね」
そう言うと昨日と同じように家の周囲を回りだした。そして何かを指さしながら、暫くぶつぶつ言うと、
「28坪ですね」
「もう測れたんですか?」
「ええ、家は規格があって、半間(はんげん)ずつ柱が入ってるんです。一間(いっけん)が約180センチ程で、一間×一間の面積が一坪だから、外から両手を広げて何回分かで、一辺が何間あるか判ります。かなり凸凹した家じゃなかったら、それで正確な面積が出ますから」
「28坪ってことは、薬代だけで28万円?」
「あ、よく覚えてますね。そうです。でも薬代だけじゃないですよ。それで全額です」
「え、技術料とか、作業者さんの日当とかは含まれるんですか?」
「そうです。これが国交省が認める定価ですから」
「なんだ。もっと高いんだと思ってました」
「28万て言ったら、結構高額ですけど、もし余裕があるんでしたら、お風呂場の床には、床下換気扇付けた方がいいですよ。一台5万円くらいです。消毒と同時に取り付けるなら、取付工賃はサービスします」
 仕入れ価格が数千円の床下換気扇は、結構高額の工事契約が取れるので、利益率は非常に高い。
「それ、見積もりに入れておいてもらえますか?」
「了解しました」
 結果、見積額は33万円となる。