シロアリバスターズ
手順4 安心契約のコツ
「すみませ~ん」
シーーーン・・・・・・。
「居留守ですか~?」
「あ、お母さん。ちょうどいいところに、今無料でシロアリの点検を・・・」
「今から、出かけないといけないので・・・」
「こんにちわ~ご主人さん。シロアリ消毒を・・・」
「帰れ!」
訪問の営業は、様々な理由で追い返される。営業マンによっては、それに耐えられず、訪問件数が減る、営業車から降りずサボる、休みがちになる、鬱に入る、辞める。
日に何十軒回っても、取れる契約は1~2件程度。そううまく行くものではない。しかし、その困難を乗り越えた強者たちは、自由気ままに仕事をするようになってしまう。そもそもそれだけイヤな思いをして、儲からないのなら続ける意味がない。続けている営業マンは、かなりの利益を得ているのだ。
「俺、明日休むわ」
小寺が車を運転しながら言った。
「またか? 今月5回目だぞ」
植村が聞き返した。
「今月はもう十分稼げたから、ゆっくりやるわ」
小寺はニヤけてそう言うと、岩田が例の煙をふかしながら、
「俺も休もっかな?」
「馬鹿かお前ら」