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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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シロアリバスターズ

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「また写真撮っておいてもらえますか」
「モチロンです」
 当然主婦は証拠映像を見たいはずなので、そうお願いするに決まっている。なので悪徳営業マンでも、嘘を言うわけにはいかない。その代わり、わずかな食害でも、バールで削って大きな被害に見せかけることはよくある。

パシャ、パシャ。

 植村が和室の床穴から顔を出した。頭までかぶった合羽にも、汗がにじんでいる。
「ああ、ご苦労様でした」
「ふう、ひどい状態でした」
「大変なお仕事ですね。蜘蛛の巣とか張ってたりして」
「いいえ、蜘蛛なんかいませんよ。それイメージです。実際には湿気たところなんで、蜘蛛よりカマドウマだらけです」
「カマドウマ?」
「羽のない茶色いキリギリスみたいなバッタ」
「へえ、床下にはそんなのがいるんですか?」
「普通いないですよ。ここは湿気だらけだったから、僕も気持ち悪かったです」
こう言うと主婦は、他の家より状態が悪いことを認識する。
「率直に言って、すぐに対処しないといけませんよ」