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はじめてのミッション マゲーロ2

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「決行は今夜。TとAはサイズ変換装置と記憶操作端末、加速装置を持って地上
に戻るんだ。寝静まってから家を抜け出し、病院に侵入。これらの道具を使えば
なんとかできるだろ。子供が夜中にタクシーは変だから、TがAを負ぶって加速装置で突っ走れ。病室のSをサイズ変換して連れ出すんだ。途中で見つかりそうになったら記憶操作でごまかすなり、なんなり、うまくやってくれ。最終的に以前きみらが記憶コピーした、あの記憶変換装置のある部屋に運び込むんだ。オレが準備しておく。実はいざという時のためあの部屋の合鍵は偽造してある」
 マゲーロが一気にまくしたてた。
 そして一息ついてからおもむろに語りだした。、
 「Sはここにいればある程度は投薬治療が可能だ。TとAにうまく運んでもらえば、記憶を交換し居住区でサトシとしての余生を送ってもらう。おれが薬を持ち込んで一時的に持ち直すだろうが、地球病がでるのはエイリアンとしてはもう寿命なんだ。大往生ってもんだろう。Sに成り代わって地上にいったサトシは翌日にはぴんぴんしてるわけだが、こっちはで地球病で重体ってことにしておく。居住区のサトシが死にそうなのもコピー体とのシンクロだと言えば上の連中も納得して意図的に寿命は縮めないはずだ。」
そしてぼくたちへの指示を言い渡した。
「タカとアキはサトシをなんとか説得してあの部屋に連れ出すんだ。チューブに入力する番号はこれだ」

ぼくたちは早速チューブに乗り、一旦最初のステーションに戻ってから、それぞれの使命を帯びて解散した。


6章

 ぼくは帰宅してから、サトシ君のところに電話した。
「昼間は途中でごめんね。ドローンから盗聴されてる気がしてさ。実はぼくもちょっと思うところがあって、信頼できる相手に監視をかいくぐって話がしたいんだけど、今夜神社の境内に来てくれないかな」
サトシはぼくの話に興味をそそられたようだ。承諾してくれた。
 マゲーロがサトシ君の担当エイリアンのふりして電話を入れておいたので、サトシの養父母もすんなり送り出したようだ。
神社で待っているとサトシ君がやってきた。
 「こんな時間になんの話?」
 サトシ君は胡散臭そうにこっちをみたが、アキヒコも一緒にいたので、ぼくたちへの警戒感が少し薄れたようにも見えた。
 「あのさ、ぼくもうすうす気付いたことがあってね。それでちょっと発見しちゃったんだよ。こっちに来てみて」
と社殿の扉をあけた。ぼくらは偽造通行証があるのでCGではない本当のあの部屋が現れる。神社の祭壇があるとばかり思っていたサトシ君は本当にびっくりしたようだった。
 「おい、これなんなんだ?」
 「サトシ君が変だと思っていたことは本当なんだよ。まあいいから来て」
チューブの乗り場に案内した。
 「なにこれ、なんでタカアキくんこういうのを知ってるんだい?一体ここはどうなってるんだ」
 なんだかややこしいことになってきたので、「ごめんね、サトシ君」とつぶやきスタンガンもどきを使ってしまった。くず折れたサトシ君をアキヒコと一緒に抱えてチューブに乗せると、今度は間違えずに入力し、最初のステーションについた。
 ちょっとつつくとサトシ君が目を覚ました。
 夢の中と勘違いしている。
 それならば、と、こっちにおいでよ、一緒に遊ぼうよ、と夢の続きのふりをして例の部屋に連れて行った。
 そこにマゲーロが現れ、再びスタンガンもどきで寝てもらった。室内にはなぜかおでこにバンドエイドを貼った夜勤であろう職員が床で寝ていた。ていうか、この世界は地下なんだから夜も昼もないんだろうけど。
 「大丈夫だよ、こいつらは深く眠ってて起きないから」
 マゲーロは言って、彼らの足をまたいでぼくたちとサトシ君を運んだ。途中で一回アキヒコが誰かの足を踏んでビビッたが、起きなかった。
 なんとかサトシ君を転換装置の中に座らせることができた。
 こっちはこれだけだが、あっちの二人は大きくなったり小さくなったりまた大きくなったり、加速したり、家屋進入したり、危ない橋を渡りまくって相当てこずったはずだ。
 TとAたちを相当待ったが、ようやく現れて、無事Sを記憶変換装置にすわらせることに成功した。
 さてそれからが大変だ。記憶を入れ替えたSとサトシ君を居住区と地上の病院にまた戻さなければならない。ここからはぼくたちが地上班になった。
 サトシくんは当分の間眠っていてもらわないと困るので、マゲーロが睡眠薬を使おう、とポケットから取り出したそれはバンドエイドの形をしていた。
「いいか、これをこうして腕に貼っておくからな。これがついてる間は眠り続けるんだ。もといたベッドに戻したらはがすんだぞ。2時間で目覚めるから。」
「了解」
 エージェントたちと持ち物をと記憶を交換し、準備を整えた。
「そもそもおまえら、これを一体どこからくすねてきたんだ?」
マゲーロがたずねた。
「実はマゲーロの家行くとき、入力番号の最後を間違えて変なところについちゃったんだよ」
「やっぱり。怪しいと思ったんだ。無人の武器庫だろ。」
「無人でよかったよ。アキヒコがどんどん入っていっちゃって。あんな簡単に入れたらまずいんじゃないの?」
「そりゃまずいさ。本来は簡単に入れるわけないだろ。お前らに渡した偽造通行証、実はちょっとエライさんの奴を元にして作ったんだ。だから顔パスで通れたんだろう。にしても部屋にはいれても武器庫をよく開けたな。」
「壁にあったスイッチ、ぼくがみつけたんだよ!」
アキヒコが自慢した。
「こいつか。なるほど、見つけ名人がいたからか。とにかく持ち出したのがばれるのはやはりまずいから、なるべく早く返したほうがいいだろう」
 ということで、明日の朝までにこれらを小型化させて窓際に置き、マゲーロが回収にくることになった。
 
 
7章
 
 ぼくたちは小型化したサトシ君をそうっとポケットにいれ、外に出た。病院の場所はTとの記憶のやり取りでわかっている。アキヒコを負ぶって加速装置で走るとあっという間についた。とはいえ、ぼくの疲れ方は半端じゃなかった。
 それでもなんとか夜間通用口で守衛を呼び出し、不審に思って守衛が見に来た瞬間に小さくなってドアをすり抜け、また加速して病室に行った。
 幸いその病室は他の患者がいなかったので、これからやることを見られる恐れ
はなかった。ぼくたちは本来のサイズに戻って小さいサトシ君をベッドに置き、サイズ変換装置でサトシ君を人間サイズに戻し、バンドエイドをはがして布団をかけた。そしてぼくたちはまた小さくなって脱出した。

 家に戻ったときはもうへろへろだった。それでもなんとか機械類を縮小させ窓際に並べておいた。
 あとは二人ともベッドに潜り込んで爆睡だった。
 
「おはよう、タカアキ、アキヒコ、起きなさい」
お母さんの声で目が覚めたが、まだ眠かったのでうだうだしていたら、
「日曜だからっていつまで寝てんの、いい加減起きなさい」
お母さんが部屋に入ってきて布団を引っ張った。
「あらやだ、なんで服着て寝てんのよ。」
はっと気付いて覚醒した。
「あ、うそ、着替えたんだけど、また寝ちゃった、やだなー」
とか言ってなんとかごまかしたものの、内心ひやひやだ。