ヤクザ、VRゲームにハマる!
【タイトル】
ヤクザが麻薬とVRゲームの二つに依存してしまって大変なことになりました。
------------------------- 第1部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
いきなりの愚痴
【本文】
ヤクザ的にはさ、麻薬を売らなきゃいけないわけ。VRで遊んで仕事をおそろかにしたら、いけなんですよ?
麻薬が売れないと、怒られるから、ついついVRしたくなるし、我慢したらイライラするからVRしたくなるし、で、仕事の合間、お手軽に吸引できる麻薬をやるでしょ? ヤクザならこの気持ち分かってもらえると思うのだが……
俺は今ね、VRゲーム(仮想現実)の中でもプレイヤー仲間に愚痴をこぼしてんねん。
ついでに覚醒剤でキマってるから、仮想現実の中でもラリってますねん。
ゲーム仲間はそういうヤクザな人がニガテなカタギだから、友達解約してくのな。
俺が馬鹿なのは分かってるつもり。でも、まさか覚醒剤使ってゲームやったら思考回路がこんなにもグダグダにかるなんて、説明書にでも書いといて欲しかった。唯一のゲーム友達無くしてしもうたから、凄く寂しい。喪失感で一杯やねん、
そんなオレが、ある日、ヤクザの頭に呼び出されて、
------------------------- 第2部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
そんなオレが、ある日、ヤクザの頭に呼び出されて、
【本文】
「お前ん、VRやっとる言うとったなあ?」
もしかして、ゲームのことで、また怒られるんかなと思ってたら
「VRの中で覚醒剤は売れるんか?」
「はい?」
「だから、VRネットゲームあるやろ? そこをヤクの密売の拠点にするんや。なあ、できるやろ?」
確かにやろうと思えばできる。仕事しながらVRできるなら言うことないし、
「できます!」
「そうかそうか! 良く言った! じゃあ、おまえ、平井組の頭になれ。そこの組員、自由につかってええけぇのう!」
「ちょ!」
唐突過ぎて話が見えない。俺がヤクザの頭だって?
サラリーマンでいったら、課長クラスが、いきなり社長クラスに昇進する様なものだぞ
平井組は小さいとはいえ、組員は30人もいる。平井組とは、今はオレが所属してる山口組山口総会からの直轄子分組織になる。組員は本家より少ないもののの現場で最前線にいる兵隊であり、
血の気が多いやつらの集まりである。
そんか猛者たちをオレが束ないといけない。
本家山口組が表向きな会社組織とすれば、平井組は裏側で表組織を支える暴力団組織だ。そんな平井組がもし警察にパクられることになったら、芋ずる式に本家山口組に迷惑が掛かる。責任はとても重い役回りであり、正直自信がない。 それに平井組といえば兄貴達(サラリーマンでいうとこの系列会社の社長やら部長のこと)のシノギになってる。おいそれと下っ端の俺なんかが手を出したら、勘違いされてなにをされるやら……
「おい! 返事をせんかい! ちゃんと聞いとんのか我(われ)は!」
「はっ! はい! もちろんやります! かしら張らせていただいます!」
勢いで返事をしてしまった。
「ほな、さっそく取り掛かってくれ、組の方にはもう連絡しといたけえのう」
「あの、一つよろしいですか?」
「なんや、まだあるんか?」
「はい、平井組の頭の件について原の兄貴は、なんと言っているでしょうか?」
原の兄貴=原誠司は誰よりも任侠的で上下関係に厳しい
「あ、そういうことか、お前(ま)ん、肝っ玉が小さいのう! そもそもコレ、原自身の提案だから大丈夫や」
???
どういう事だ?
なぜ兄貴分が舎弟みたいな立場になる必要が?
「ええから、お前ん、はよ行ってこい! 後のことは、腹に聞けばええから!」
【後書き】
ふとネット検索したら平井組平井一家という、ほんもの組織があったわ(笑)
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【サブタイトル】
平井組にて
【本文】
まえがき
原の兄貴=平井組の頭=サラリーマンでいうと社長。平井組には他に部長や課長な地位の人がいてる
「おお、よく来た」
原の兄貴は、いたって笑顔でした。
「あ、の、」
「どうしたんや?かしこまって?」
「どうして、俺なんですか? しかも兄貴が舎弟みたいな立場にどうして? 」
「それか…俺なヤクザ辞めてカタギになろうと思ってな」
「カタギって…」
原の兄貴=原誠司は、ヤクザという立場を捨てて芸能界に行きたいのだそう。兄弟分を引き連れて漫才や落語やって一発当てたいらしい
「本気で言ってるんですか?」
「そうや、なんかへんか?」
確かに、社長が部下に仕事任せて自由人になろうとするケースはよくある話
その場合は会長とか顧問という形である程度は会社に関わるもので、関わらなくても株式等は持ってたりで株の配当金等で不労所得を得てたりする。
いろんな意味でヤクザの組織も完全引退はない
つまり平井組のシノギのいくらか、継続的に払え!ということだろうな
「お、物分かりがええな。せやから、後のことは任す。組のことはマサシと相談して上手くやってくれな」
マサシというのはここの係長みたいたもので、今回の件で部長クラスに昇進したはずだから悪い気はしてないはず
そしてオレが社長だから
やあ、マサシくん、よろしくね。
なんてことは言える筈がない。平井組では、マサシ君が俺よりも10年くらい先輩なのだから、あんまり偉そうにはできない。失礼のなようにしないと
------------------------- 第4部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
本名、根岸あきひと
【本文】
マサシは本家の会合で酒の席で何回か会ったことあるだけで、殆ど喋った記憶がない。眼の下に大きなクマあり、薬物中毒になってる恐れがある。マサシはこれから平井組の実質ナンバー2になるわけで、兵隊組織の成り上がりの猛者だろうから、性格もキレやすいはずで、扱いは慎重にしないといけない。
マサシの本名は根岸あきひと、というが、どうせ偽名だろう。偽名を使うのは仕事柄仕方ないことであるが、仲間内では偽名でも呼びあわない。もし、どこかの面倒な敵対ヤクザに呼びあってる名前が漏れると、身元がバレかねない。警察にも手掛かりを与えかねない、ヘタをしたら事務所まで特定されかねない。特に平井組は現場主義だから名前ひとつ、あだ名ですら、徹底的にルールを守っているはずで……
------------------------- 第5部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
土下座するマサシ
【本文】
マサシは言った
「寺井さん、宜しくお願いします!」
作品名:ヤクザ、VRゲームにハマる! 作家名:西中