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悩める熟年世代、VRゲームにハマる!

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「多くの引きこもりは、特に部屋から出てこれないタイプの引きこもりは、親に対して不信感を持っています。愛されていない、憎まれてるのではないか。いつか捨てられたり、邪魔だから殺されたりするのだはないと不安し、被害妄想に嵌っています。親に対する恐怖は……、

「つまり、親すらも恐怖しているのだから、赤の他人なんて、もっと信用できずに恐怖する。よって外に出られない。『引きこもりを理解する為の冊子』の最初の方に書いてありました。」

「そうです。なので、親御さんには継続して……」


「しかし、私は思うのですが、その場合赤の他人が息子の心を変えて『赤の他人ですら信用できるようになれば、親ならなおさら信用されるのではないでしょうか」

「そういうケースは稀です。赤の他人に信用され求められるというのは、都合のいい人間にならないといけないからです。親御さんも信頼されて重要な仕事を任せられているでしょう。誰かにとって都合がいいから信頼され、こちらも信用して働けるのです。息子さんは誰かに還元できるものがないので、社会に、つまりは他人から信頼も信用もされない。そういう息子さんに、愛を差し出せる他人がそうやすと現れるハズはないです。ですから……」






清十郎は先生の言葉に異論を唱えることもできたが、やめた。言葉がうまく纏まりそうに無かったからだ。自分の考えが正しいかどうかは、実際に息子を見て確認しないとわからない。先生の言葉を思い出しながら、清十郎は空を飛んでいた。

飛行中プレイヤーから音声メッセージが届く。

「もしもし、竹内です。今ダンジョン内のあのフロアに居るのですが……」

竹内は床下に広がる高さを見ながら、
「もし、足を滑らせて落ちたらどうしよう」
恐怖に震えていた。
竹内も清十郎と同じくダンジョン内で若者たちにパーティー組んでの飛び込み落ちに誘われたが、怖くて参加できなかった。
飛び降りた後、どうなったか聞くために連絡先(アドレス)をメンバーと交換していたが、連絡が取れないことから、メンバーとして見放されたと感じていた。

竹内にとって、他に協力をしてくれそうな人は清十郎しかいなかったが、しかし清十郎はネットで束縛されるのを嫌っていた。それを知らされていない竹内は、清十郎にメッセージを送っても無視をされるわけで、清十郎とはパーティーは組めないのだと諦めていた。その矢先、清十郎からメッセージが届き、こうしてログインした待っていたのだった。


空から駆けつけた清十郎を見て驚いて腰をぬかした竹内。

「ちょ! 清十郎さん、なんてことになってんてをすか?」

言葉がかみかみの竹内に清十郎は、これまでの経緯を話した。

「まさかプレイヤー狩りを生業にしてたなんて……一体何人くらい殺ったんですか?」

言いにくそうに答える清十郎
「じゅ、じゅうにんくらい。」
実際には40人は殺している。清十郎はなんとなく減らして答えた。


竹内は少し考えて
「そんなに殺して、よく報復されませんでしたね?」

確かに、ネトゲといえばプレイヤー狩りをすれば噂が広まって、正義感気取りの上級プレイヤーが罰を与えにくるものである。
清十郎は疑問したが、たまたま黙認されたのだろうと思い込んだ。もしくは気付かずに同じプレイヤーを何度も殺したのかもしれない。

そんなことより清十郎には仕事のスケジュールがあり、雑談している暇な時間が勿体無い。清十郎はマントを脱ぎ竹内に渡した。

「悪いけど、これから仕事でログアウトしなければいけない。このアイテムを貸すから役立てて欲しい」

そういうと、清十郎はこの場から消えた。


竹内は気付いた。このゲームは案外孤独なゲームのなのだと。

元来、ネットゲームといえば、友達とワイワイやるものである。

自分の息子は、たとえ引きこもりしててもネットで友達を作ってて、ある程度の幸せを得てるはずだろう。竹内はそう思っていたが、もしかしたら、ネットですら一人で孤独なのかもしれない。
息子を不憫に思う親心だが、竹内もこの魔法のマントを装備することで清十郎のようにこのゲームにハマっしまうのだった……



【竹内視点】
なんじゃこのマント! ぱねえっ!


竹内は大はしゃぎで、暴れまくった。

世界の半分を破壊尽くして気付いた。


破壊尽くしたら、どうやって息子を探せばいいのだ?

ふとした疑問である。


もしかして、いや、もしかしなくても、この惑星に息子がいないとしたら?



竹内は宇宙に飛び出した。マントのおかげで、光を超えるスピードが出せる。


この宇宙のどこかに、息子がいるのか?


竹内はいろんな惑星を見回ったが、生物が住まう星は、おろか宇宙を飛び回ってるかもしれないプレイヤーも見かけない。

広い宇宙で一人の人間を探すなんて米粒に混じった一匹のミジンコを探すより遥かに見つけにくいだろう。目視で見つかる筈がない。

竹内は考えた。もし息子が同じマントを装備しているなら……


竹内は銀河の中心に飛び込み、かき回し、銀河を爆発させた。銀河は塵となり拡散した。


竹内の目的は、この爆発を他プレイヤーに目撃してもらって、自分の存在に気付いて貰うことにある。そうしてゲームの攻略のヒントをプレイヤーから教えてもらおうとの考えたのだった。


しかし、誰も来ることは無かった。いくつ銀河を爆発させても、誰からの返事もない。

困った竹内。あれこれ考えるも答えが出なかったのイライラしてきた。

やけになってスピードの限界の限界を出した。光の速度の何兆倍を超える速度でスピードを出した。すると突然、目の前が眩しくなる。視界が光で一杯になる。

竹内はここが何処だ分からなかった。宇宙はどこに行ったのだろうか。



竹内は白い世界の中で、さ迷い続けた。

もうどうしていいかわからない竹内。

諦めてログアウトボタンを押そうとしたそのとき、視界のはるか彼方に黒い点が見えていたことに気付いた。

竹内は黒い点に向かって突き進んだ

しかし、
どれだけ、進んでもとどかない

黒い点に近づいてる実感がない。もっとスピードを上げなければ。もっともっと
もっともっと
もっともっと

もっともっと

頑張り過ぎて疲れた竹内。
そろそろログアウトして、このことを清十郎さんに相談しよう。

竹内はログアウトの前にひとつだけ、やってみたいことを閃いた。あくまでもおふざけによるものだ。


竹内はゲーム開始の職業選択で、占い師を選んでいた。竹内はリアルの世界では占いにハマりすぎて、高額なツボを買わされたりしたし、オ〇ム心理教に入信していたともあるくらいの、オカルトマニアである。

しかし、
竹内は占い師の職業を選んだものの、イマイチその技(スキル)の使い方が分からないでいた。

わからないなりに、一応、占い師の真似をしてみる竹内。

「神様、かみさまーかみさまー」

神に念じるが何も起きない

(ノw`*)ネ申

愛嬌だしてもだめだった。

仏教やイスラム教、あらゆる宗派を超えてお願いしてもなにも起らない

('`ァ'`) . 。o (ダメだこりゃww)