悩める熟年世代、VRゲームにハマる!
清一が椅子に座らされロープが掛けられてる。清一は抵抗する意識も無いようでグッタリしている。
犯人たちをクラブで殴りつける為、息を殺してタイミングを待つ
「そろそろ飽きてきたから、体ばらす?」
「まって、あと一回だけやらして!」
犯人の一人が清一の首を絞めた。。ロープがギジギシと音を立て部屋に響く。3人の犯人たちは耳を済ましながら、その音に聞き耳を立てている。
清一の悶える顔を嬉しそう眺める犯人たち
『今しかない!』犯人たちの隙を突く様に飛び出した
2人はやっつけたが、残り一人に清一を人質に取られた、
クラブを下に置けと命じられる
犯人を刺激しない様に床に置いた。
犯人は座らせた清一の首に包丁を突きつけ
「後ろに下がれ!」
後ろに下がる清十郎
犯人は清十郎が後ろに下がったのを見ると、クラブを取りにきた。包丁を清十郎に向けながら、クラブを取る。清十郎は丸腰だったので何もできなかった。
このままでは清十郎も清一も殺される。何もできないなら、一旦逃げて武器になるものを探して戦うべきかもしれない。
先ほど倒した2人は気絶しているようだが、もしこの場を離れている間に息を吹き返したら……
『頼む。人質にするなら私を』
清十郎は自分が人質にして貰える様に願い出た。
犯人は応じる素振りを見せる。
「いいか、後ろを向いてゆっくりと、近づけよ。おかしいと思ったら息子は死ぬからな」
清一の首に包丁を突きつける犯人は、人質交換をするつもりはない。清十郎が近づいてきたら、クラブで殴り気絶させ、清一と同じ目に合わせるつもりだ。
犯人の意図を察知した清十郎は土下座した。
「頼むから清一を殺さないでくれ!」
犯人めがけてタックルしたい。
もしかしたら咄嗟のことで動揺して、犯人は対応できないかもしれない。運良く犯人を下敷きにして倒れ込む格好になれば、人質の清一から犯人の距離が離れるだろう。揉み合って刺される可能性があるが、犯人はクラブを左手に、右手に包丁を持っている。両手でしっかり握ってないから、体当たりすれば、どちらか1つ、運が良ければ両方の武器を落とすかもしれない。それを奪って犯人を殺すしかない。
今は、それしか選択肢がない。
清十郎は意を決して立ち上がった。
しかし、犯人は清十郎の意を察したのか、清一の後ろに回り込み、清一を盾にしてきた。
このまま飛び込んでも、犯人に届く前に人質の清一は殺されてしまう。
清十郎は何も出来なくなった。
攻めることも、逃げることもできない。
いや、全てを捨てて逃げることはできる。
清一を見捨てて自分だけが逃げれば確実に助かる。外で武器になりそうなものを探して、もう一度闘いをいどめば……
運良く気絶した二人が目覚めないなら……
清十郎は気付いた。逃げれば犯人は即、人質の清一を殺して、仲間の二人も見捨てて逃げるに違いない。犯人自身が一番身の安全を確保したい筈だ。
逃げる訳にはいかない。清十郎は考えた。
犯人が身の安全を守りたいのであれば、オカネで、なんとかなるかもしれない。
清十郎には大会で勝ち取った2000万円がある。それと引換に清一と交換してくれないだろうか、
交渉すれば少しは時間稼ぎもできるかもしれない。
「ほう? 2000万あるのか、じゃあ、暗証番号を教えてキャシュカードを渡せば、息子を開放してやる」
清十郎の財布の中にはカードがあるが、それを渡したら交渉は、すぐ終わってしまう。
息子の為の貯金なのでカードは家の中に隠してあると犯人に言った。
「じゃあ、3分まで待ってやる、それまでにカードを持って来ないなら、こいつを殺して、逃げるからな」
清十郎は犯人の目から離れて、探す振りをして考えた。
窓ガラスが破られているから、庭から回り込めば犯人の背中に出られるかもしれない
清十郎は靴を脱ぎ足音を立てないように庭に出た。
確かに犯人は庭を背にしているが……
犯人たちの一人が目を覚まして、正面に立っていた。バットを持っているので、このまま攻めても返り討ちにさる。
「おい! まだ見付からないのか! 」
そろそろ3分が経つ。犯人が警告した時間までもうない。
「おい、アイツを今すぐ連れてこい」
「はあ? 指図されるいわれは無いのですが」
「何言ってるんだ? 2千万が手に入るかもしれないだろ」
「もしそうだとしても、連れてきた途端、お前が俺を殺さない保証なんてないよな? 2000万全てを独り占めするかもしれないだろ?」
「……」
「探して来て欲しいなら、お前が行けよ。人質は俺が見てやるから」
「……」
「大体、嘘かもしれないだろ? カネがあると嘘をついて、庭に回り込み、実は、そこの窓から、お前を殺せるかを伺ってるかもしれないぞ?」
そう言ってバットを持った男は窓まで歩み寄る
「ほら! やっぱり、そうだ! 2千万なんて嘘だったんだよ!」
「嘘つきには、お仕置きが、必要だな!」
バットを持った男が清一に向かって歩き、バットを振りおろした…
瞬間、銃声が聞こえた。バットを持った男は倒れ、次いで、もう一発の銃声が聞こえた。
犯人は銃声に驚いてその場に蹲り、清一が犯人の手から離れる。
室内には拳銃を持った男が一人、立っていた。
男は犯人たちに拳銃を向けたまま、腰にぶら下げていた拳銃を清十郎に投げた。
「こいつらを撃つなら、止めはしない」
そのセリフを聞いた犯人は暴れだした。男の拳銃を奪おうとして包丁で男を刺した。
男は刺さるまま犯人を投げ飛ばし、倒れた犯人の手足を潰す様に何発ものも銃弾をぶち込んだ。男は防弾チョッキを着ていて平気で、再度犯人を殺すか清十郎に訪ねた。
------------------------- 第53部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
ハセガワという男
【本文】
清十郎と清一は助かった。
清一の首にはロープで絞められた跡が痛々しく残っているが、意識もなんとかあるようで
直ぐにでも病院に連れていかないといけない。清一は足を骨折していた。清一が逃げられない様に犯人達は清一の足を抑えてバットで殴ったらしく、
清十郎は清一を抱き抱えて玄関を出た。
銃を持ち、間一髪、清十郎たちを助けた男はハセガワと名乗った。
ハセガワは自衛隊員らしい。緊急事態につき、武器を支給され、各家庭を巡回しているのだそう
清十郎は清一を一刻も早く病院につれていきたい、なりふりかまわず、清一を抱えて外に出る
ハセガワが言うには事件のせいで被害者が多くいて、病院までの道のりは渋滞しているという
病院も患者を受け入れきれないそうで、自衛隊の医療班が最寄りの学校を拠点に待機しているらしい。
ハセガワは最寄りの学校に行くように指示をした。道中の狂人は排除はしたが、念の為、護衛が必要であれば、付き添うという。
清十郎たちは2キロ先の光木中学校まで歩く。
相変わらず道は渋滞していてる。渋滞といっても、車には殆ど誰も乗っていない。
作品名:悩める熟年世代、VRゲームにハマる! 作家名:西中