悩める熟年世代、VRゲームにハマる!
モニター調査が途中(必要時間6000時間のうち1000時間で打ち切り、報酬は凡そ200万円)で打ち切りになってしまった。理由が良く分からないが、新たなモニター依頼があり、今度も報酬が貰えらるらしい。清一はオカネの為張り切ってログインした。
キャラクターデザインは
なんと、藤井選手のキャラデザインだ。
クールビューティーな憧れキャラ。勿論職業は西洋騎士レイピア使い
清一は、このモニターをやるために生まれて来た気がした。
しかも強いから!
未来予知が9秒まで出来るとか、魔法発動時短とか
藤井プロの持ち技を、全て使いこなせる設定にしてある、ゲーム開始直後から最強設定なんて 正直やり過ぎじゃないか?
そうだ!
どうせ他のプレイヤーからは、ノーマルキャラにしか見えないのだから、
このまま、上級プレイヤーに戦いを挑んでみよう。藤井プロは四天王プレイヤーの内の一人にしか過ぎない、他の四天王と藤井様と、どっちが強いいか、比べてやろう。
《清十郎視点》
清十郎は、息子の為にゴハンを作りながら何気なく、テレビニュースをみた。
VRゲームをプレイ中にヘルメットデバイスの感電事故があり、被害者一名が意識不明の重体だという。警察は何者かがヘルメットに細工をした痕跡を確認、殺人未遂事件として、捜査をしているという。
------------------------- 第47部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
ドラゴンの次の次の次のなはし
【本文】
そのプレイヤーはゴーストを操り、密かにプレイヤーの心を読んでいた。それが趣味だと言われれば盗聴的行為であり、人としては立派なものではないが、その者は、ありとあらゆるプレイヤーの心を読む果てにモンスターの心も多く読んでいく様になっていた。判ったのは…
『全てのモンスターが死を恐怖していて、それに抗うから、プレイヤーとの抗争が起きてしまう』
もし言葉が伝わるなら、
《ゲームの世界はモンスターの世界でありプレイヤーは慎ましくして欲しい。マナー守ってくれるならいいけど、荒らすなら出てけ!》
はっきりいって、モンスターの思考回路は人工知能そのものだ。リアルに作りすぎて、意思を持ってるとしか思えない。
もしモンスターが人間の思考を操る術を身につけたら、ゲームの世界から人間世界に干渉(コントロール)できるかもしれない。
洗脳魔法が、あるのかないのか、このゲームならば、作れそうな気はするが……
もしかしたら知らないところで、既に洗脳されてて、洗脳に気付けないように脳を弄られているかもしれない
先日、ヘルメットデバイスの感電事件があったが、その時刻、被害者プレイヤーは、あるプレイヤーと対戦していた、という報告がある。対戦を観戦していたプレイヤーの証言だと、ゲームオーバーして直ぐに感電被害が起きたのだという。
まるでゲームで死んだら現実でも死ぬというオカルトホラーである。
もしかしたら人工知能を持ったモンスターが人を洗脳してきた結果、遂に現実世界の人を操り、攻撃してきた。ということではないか
モンスターは皆、死ぬことを恐れている。だったら「殺される前に先に殺してしまおう」そう考えても不思議ではないはず。
プレイヤーはモンスターと仲良くした方がいい。
さもなくば……
------------------------- 第48部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
パーティー
【本文】
日本時間午後9時頃、
ネットカフェにて椅子に座り、ヘルメットデバイスを装着し、これからゲームにログインしようとコンピュータの電源を入れようする。
このネットカフェは個室がないが、多くのお客はVRゲームに接続するのが目的であり、接続中は意識を失う。なので余程大きな声を出さなければ他の客の迷惑にはならない。この店はパチンコ店を改装してレンタルスペースを提供しているので、座席数は500程あり、その殆どがVRに接続する目的で埋まっている。
清十郎もその中の一人であり……
ー清十郎の視点ー
清一が、最近ゲームにログインしてこない
清十郎はどうしていいか判らなかった。息子の荒れ方が以前に逆戻りしてしまったから、
何がいけなかったのか
清十郎があれこれ考えていると竹内と安井からメッセージが届いた。
「大会主催者側からパーティーの招待受けたので一緒に行きませんか?」
チーム清十郎はバトルロイヤル戦で藤井プロと白熱して戦った件にて賞賛された。VIP会員達が会いたがってるとかで、パーティーに招待されていた
清十郎
「寺井さん達も行くんですよね?」
ナギ、寺井、池内も同盟を組んで戦ったから招待されているはず
竹内
「それが連絡がつかないんですよ。最近、ログインしていないみたいで……」
安井
「代わりに、さっちゃん、連れていっていいですかね? さっちゃんの作品を沢山のプレイヤーに宣伝してあげたいんです」
竹内
「私も、できたら、ゴーストちゃんも連れて行きたいのだけど……」
清十郎は大会主催者に掛け合ってみた。
二つ返事でOKしてくれたが、VIP国入国になるので、脳内分析(悪意思想を持っていないかどうかの検査)の審査手続きは踏まないといいけない、らしい
また出国するまでの間は、脳内を常時監視する為、主催者が用意した監視者(リドナー)をつけなくてはいけない。
リドナーには脳内情報、個人情報は全てリアルタイムで見られてしまう。
清十郎「特に問題がなさそうなで、行きましょうか」
ー入国審査ー
結局、パーティーの当日になっても寺井たちとは連絡が付かなかった。
ちなみに
清十郎は、さっちゃんの母親(西中さん)も招待した。
さっちゃんには内緒で招待したので、西中さんは別人(ひきこもり小学生キャラ)を装っている。
入国審査と言っても、特に何かあるわけでもない。
システム管理者の権限で、勝手に脳内審査をされる。リドナーがついてるとか言われてもピンとこない
VIP国の中は、あえてなのか、現実世界の街並みが演出されていた。東京の街並みが再現してある地域はビルが立ち並び、ビルには巨大なスクリーンがテレビ番組を放送している
パーティー会場も、あえてリアリティを追求したのか、一流と言われるホテルで、オークラ東京が再現されている。
会場に来るルートにも、さりげなく地下鉄があり、誰も乗らない電車が走っていた。
エキストラなNPC(プログラムキャラ)が街を歩いていても良さそうだが、あえて無人の街である。人が誰もいないスクランブル交差点、車が走ってない高速道路、誰もいない総理官邸。ある意味で新鮮で、ある意味で開放的である。
沢山の施設の中でホテルオークラがパーティー会場に選ばれたのは、もしかしたら、メーカーのスポンサーとか経済的事情かもれない。
渋谷駅からホテルオークラまで、道が丸ごとソーメン流しで続いてるのは、優勝者が日本人である藤井を称えての事だろう。藤井の好物がソーメンだなんて、一度も聞いたことは無いけれど……
「やあ、清十郎君じゃないか!」
作品名:悩める熟年世代、VRゲームにハマる! 作家名:西中