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悩める熟年世代、VRゲームにハマる!

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息子なら あの高さから飛び降りる度胸はない。だとすれば違うルートがあるのではないか? このゲームは実際に痛みを感じるわけで、危ないことをすれば、死ぬかと思うような痛みも経験するかもしれない。飛び降りるのが正解だったとしても、なんの作戦もなしに飛び降りて着地で瀕死になったりして、そのままモンスターに襲われるかもしれない。そこで死ねばまたやり直す羽目なるだろうし、無駄に痛い損である、


今夜、もう一度ログインするつもりだが、その前に何かしらの方法を考えなければ。
ゲームの攻略方法をネットで調べるのがいいのだろうが、なぜかそれはできない気がした。まだ序盤であるし、もし息子がヒントなしでクリアしていて自分ができてないとなる格好が悪い。清十郎は働いてない出来損ないの息子に対してゲームとはいえ、何かで敗北するのは親の威厳に関わると思ったのだ。

風呂からでると携帯が鳴った。緊急の仕事の要件だろう。
清十郎はカバンとゲームを持ち家から出ていった。

清十郎が仕事へ出ていった後、息子は部屋から出てきた。家の中をウロウロ徘徊し、階段を登り降りする。窓の外を見て父親が遠くに行ったのを確認すると、また同じことを繰り返した。
しばらくすると大人しくなり、静まり返った部屋で奇声を上げた。






その頃
清十郎は仕事中で作業場にて監督指揮をとっていた。重労働の工事現場であり、作業員の安全を管理しなければならなかった。ゲームをやれるような状況になく、ため息を漏らした。

仕事が一段落して、今日はもう寝てしまいたい清十郎だったが、ゲームの攻略に関して閃いたことがありログインすることに決めた。

清十郎の初期設定の職業はゴーストハンターだった。いままで、職業が意味するところは分からなかったのだが、何かしらの意味はあるのだろうと、仕事中に考えていた。敵を倒してレベルアップしてスキルを覚えるのか、それとも既に使えるスキルがあって、自分でやり方を見つけるのか。もし後者であれば、ダンジョンで秘密の部屋を見つけたときのような、驚きや感動の快楽が得られるかもしれない。
この頃の清十郎はゲームの最中は息子のことは完全に忘れていて没頭するようになっていた。

ログインした清十郎は正体がゴーストの自爆モンスターをタイマツを持ったまま追いかけ、壁際に追い詰めていた。
清十郎はゴーストにタイマツでの攻撃を加えずに語りかけた。
「もし人間の言葉がわかるなら返事をしてくれ、言葉を発することができないのであれば、私に触ってくれ」
目に見えない何かに触られた気がした清十郎は「持ち上げることはできるか?」
少しだけ浮かぶ。浮かんだ時間は凡そ3分ほどだった。
清十郎は思った。ゴーストを仲間にして床下を飛び降りることはできないだろうか。ゴーストが大人しく言う事を聞くのであれば、ゴーストの協力にて、安全に地上へ着地できるかもしれない。

しかしゴーストが裏切らない保証はない。もっとゴーストを支配できる方法はないだろうか?
清十郎はふとゴーストは何を食べて生きているのだろうかと疑問した。ゲームのプログラムだから実際に食べる訳ではないだろうが、このゲームのクオリティは高いから細かい設定まで決めてあるかもしれない。清十郎は見えないゴーストの行動を観察する為に、ゴーストに防具を取り付け、ゴーストの位置を把握できるようにした。
「見えない敵に警告する、これより、私は何もしないから、逃げてもいいぞ」

防具を装着したゴーストは清十郎から逃げていった。そのあとを追いかける。
しばらくすると、ゴーストはプレイヤー見つけ襲い始めた。
清十郎は思った。なぜゴーストは人を襲ってるのか。タイマツで返り討ちに合うかもしれないリスクを犯してまで襲うのは、何かしらの意味があるのか?

ゴーストはプレイヤーを攻撃し続けている。
奇しくも防具をまとったゴーストの体当たりは、攻撃力が増加しているようで、プレイヤーの痛がり具合は半端ない。プレイヤーは力尽きて倒れて、
すると、倒れたプレイヤーから魂の様なものが抜け出てゴーストに吸い込まれた。

ゴーストの食べ物は人の魂だった。ということ。つまりゴーストが人を襲う理由はあくまでも魂の食事にあり、それさえ提供することができれば……

清十郎に黒い心が芽生えた。ゴーストを操るには、プレイヤー狩りをして、魂を安定して供給すればいいということ。
清十郎はこの日からネトゲマナーではありえないキャラ、参加者殺しのキャラ(プレイヤーキラー)となったのである。


------------------------- 第5部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
プレイヤーキラーな父

【本文】

プレイヤーキラーの仕事はとても簡単だった。初心者が集まる最初のダンジョンである。探せばプレイヤーは沢山いる。プレイヤーを見つけたらいい人の振りをして近寄り首を締めるか、タイマツで殴るか、防具で殴ればいいだけだ。
プレイヤー狩りしてゴーストに魂を捧げる。何度かそれを繰り返す内にゴーストとの信頼関係が造られていった。指示どうりにできるまで数日の時間を要した。
その間、ダンジョン探索もした。得られた宝は

装備品 魔法の防具
装備品 魔法のマント
装備品 魔法の服
装備品 魔法の紐(ロープ)
HP50%の回復剤2つ

魔法のマントは装着すると、自由自在に空を飛べる。ゴーストに体を支えて貰わなくても地上に安全に降りることができるアイテムだ。
魔法の服はタイマツの火を当てても燃えないことから、断熱効果が高いことが分かった。
魔法のロープは伸び縮みをする。こすると伸びていき、引っ張ると縮むので、プレイヤーの首を締めるには使えない。

覚えたスキルは
「プレイヤーを効率良く殺す技」

首を締めて殺すのは体力を多く使い、幾度か反撃も受けてしまう。
松明(たいまつ)は殴る効果は高く、炎の殺傷力も高いが、壊れやすいデメリットがあった。
武器として効果的なのは防具であり、フライパンのような硬さがあり、殴ると気絶させられる。


清十郎はこれから床下から地上へと向うつもりだ。ダンジョン内からは結局地上へのルートは見つからなかったから、このダンジョンは空に浮いている事になるのかもしれない。
地上の景色が時と共に変化してるのが確認できた。、大地が自転運動しているのか、あるいはダンジョンが地球と月の様な関係なのか判断はつかなかったが、それはこれから分かることなのかもしれない。


地上に降りる前にやるべきことは、パーティーを再度作ることだろうか。
ダンジョンで最初に出会ったプレイヤーに連絡をとる清十郎。しかし今日はログインしてないようで、音声メッセージを飛ばした。 音声メッセージは、プレイヤーの携帯電話と連動していて、リアルの世界の本人への電話に繋がり、応答がない場合、留守電に録音される。

たしかあの人のハンドルネームは……


「もしもし、清十郎です。地上に降りる方法がわかりましたので、またパーティー組んで冒険しましょう」