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悩める熟年世代、VRゲームにハマる!

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〈つきましては当社の新たなプレイヤーキャラを試供して頂きたく……〉

つまり吉井清一にゲームメーカーから、モニター調査の依頼が来たのである。新キャラを使用してゲームをしてバグ等がないかチェックして欲しいそう。報酬は半年間で日当ベース5000円程が支給される予定で、約1000時間のプレイを目安に頑張って欲しいらしい。



〈新キャラを使ってのプレイは、他のプレイヤーにはノーマルキャラにしかみえない。また新キャラの情報については守秘義務があり、みだりに他人に教えてはならないー〉


「なるほど。」

吉井清一は免責事項を確認し、モニター調査を快く引き受けた。
ゲーマーにとってはゲーム作りに関われるから嬉しいサプライズでもある。断わる理由なんてない。
しかも日当5000円までついてくるのだから。、1000時間どころか、1万時間でもやってやりたい気分である。
清一は新キャラをプレイする為、一旦ログア ウトし、メーカー側が用意してくれた専用アカウントでログインした。


ログイン直後、最初ダンジョンでゴーストのモンスターが出てきた。幻覚攻撃で化け物が襲ってくる

新キャラには職業設定がない代わりに、初期から中級魔法をいくつか覚えてるようで

清一はファイア―ストームを唱えてゴーストを燃やした。

どうやら新キャラは初心者を考慮したゲームバランスになる様に設定されてる。ダメージを受けると痛みが発生してしまうゲームなので、多くのプレイヤーは初期のダンジョンを攻略する前に辞めてしまう。これまでのデメリットを補う形で採用される新キャラである。


「なかなか悪くない」ゲーム開始時から、いきなり広範囲魔法が使えるのは初見プレイヤーにとって気持ちよくプレイできる筈だ。

新キャラは見た目のデザインも変わってる。まるで女性受けするようなホスト顔で、ジャーニーズみたいなイケメン系。

そういうのが好きな若い女性プレイヤーを取り込みたいメーカー側の切なる願いが込めれている様に思える



ダンジョンを順調に進んでいると、プレイヤー達がたむろしている。飛び降りたらゲームオーバーするステージであり、
クリアするにはマントを見つけるか、ゴーストを手なずけるか、それらをプレイヤーから借りるしかない。

新キャラは重力魔法が使えるので、着地点に反重力を生み出せて安全に着地ができる。
つまり、新キャラを使ってれば、もれなくこのステージはクリアできるし、クリアできずにいるプレイヤー達を救助してパーティーを編成を作りやすくもできる。

この場合、反重力を地面に予め置きに行き、その後、皆でスカイダイブする格好になるだろう。

清一はプレイヤーたちに声を掛けてみた。





しかし、反応が帰ってこない。

プレイヤー達は何やらヒソヒソと会話している様で……

話しかけても無視するだけで



清一は訳も解らず、そのままその場を立ち去った。


清一は思った。
(やはり人付き合いは苦手だ。会話の仕方、自分では、まともだと思うけど、いつも上手くいかない。)



清一は最初の街に降りた。
街の中に入るとパレードが歓迎してくれる。

ここまでバグらしいバグは見当たらなかったが、街の中にはモンスターが入り込むという珍しいバグを発見した。低級モンスターであり、放置しても問題は無いが、一応バグ報告をした。

あまり新キャラとは関係ないバグに思うが

そのバグ以降、特に問題は見つからす、ひと通り街を隅々まで回ったが問題ない。

「初心に戻って初心者がやるような事もしてみよう」
清一は掲示板から初心者向けのミッションを選んだ。「魔法武具の製作手伝い」を選んで魔法図書館に向かった。

初心者といえば、清一が最初にここに来た時は、魔法学校なるものがあって、そこでベテランプレイヤーたちから魔法を学んた。ボランティア的に教えてくれるのだが、ある種の出逢い系の場になっていて合コン会場みたいだった。

学校を作ったのは図書館を作った人と同じで、だから理念に合わなかったのかもしれない。清一が卒業してすぐに学校は閉鎖された。

そう言えば学校跡地はどうなってるのだろう?
取り壊すに勿体無い感じのゴージャスな城だったから、今でも残ってると思うが…

清一は図書館に行く前に先に城を見に行く事にした。


◇◇◇


城は閉鎖されていてバリアにて入れない。
諦めて帰ろうとしたら、どこからか声をかけられ

「お兄さん、ちょっと、麻薬とか興味ない?」

姿は見えない、きっとステルス系のアイテムを装備しているのかも

清一は麻薬に興味あったがカネはない。引きこもりなので知識を得る機会も豊富だから麻薬の害も詳しい。

「無料なら貰ってもいい。」
もしかしたら、意識が無くなる様な合成薬物かもしれない
清一は貰ったら、通報する気でいる。

流石に無料はダメだった。麻薬の売人は去って行った。アカウントは非公開設定されてたから、名前しか分からなかった。一応通報だけはしとこうか

システム管理者宛と警察のサイバー犯罪対策課にメールを送信してると

さっきの男が走って戻ってきた。

男はステルスが解除さてる様で、一人街中を嘆き悲しみ歩いていた。

どうしたんだろう?



「さっき、向こうの路地でプレイヤーキラーが現れて魔法のマントを取られてしまったんた!」

マントは希少性あるアイテム。昔はゲームでは手に入らなくてゲームを買った人から先着1000人にだけ配られた。

その後プレイヤー人口が増えていくと、魔法マントのオークション相場は1000万円を超える様になり、略奪行為、果てはリアルでの殺人事件にまで発展した。世間から責任を追求されたメーカーは急きょ対策し、魔法のマントをプレイヤーに無料提供し、オークション相場を下げたのだか、
折しもその事件がマスコミを騒がせメーカーの知名度も上がり、そらをキッカケにVRの参加者が倍増した。

結果的に5000万ものプレイヤー人口を抱える。そのキッカケになった事件であるが、プレイヤーが増えた分更にマントを量産したはずで、清一の知ってる限り、マントの価値は5万円程度に落ち着いた筈で…

とはいえ5万円は確かにキツイ。さっきまで麻薬の売人をしていた男に同情しない訳でも無いがー

「元気だしなよ、おっさん」
「はあ? 寝ぼけた事言うと殺すぞ!」

おっさんが言うには、今のマントの価値は200万円前後まで、回復しているらしい。

プレイヤー人口は5000万人から劇的に増えた訳ではない。マントの需要がどうして急激に増えたのだろうか?

「そんなもん決まってるだろ、メーカーがヤクザに脅されて裏取引をして、マントハンターを雇ってるんだよ」

きな臭いなあもう。そんなドラマ的なのはリアリティーが無いから信じれない。
マントの盗難なんか蔓延ったら、プレイヤーがゲームにから去っていくし、ライバルのゲームメーカーにプレイヤーを横取りするチャンスを与えるだけだよ。

「そうじゃないんだ。ライバルメーカーも全部、ヤクザに脅されてるのだよ」

それこそ無茶な考え方。ヤクザかをそんなに優秀な訳が無い。



清一は男を放置してゲームを再開した。