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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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双児宮

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私はすぐに、ラブハを産婦人科に連れて行きました。
すでに30週目でした。女の子の双子であることがわかりました。
ラブハはそれを聞いた時、今までにない感情が芽生え出したように思います。
とても嬉しそうでした。
お腹にいるのが双子の女の子だということが。

双子、ふたご、ツインズ、ジェミニ(双子座)、双児宮(占星術の双子)・・・
ラブハを見ていると、まるでマスコットのぬいぐるみでも手に入れたかのような感覚に思えました。
ただそんなことで私は、ラブハとの生活に張り合いが出ました。

それから以降、遊び歩くということはなくなり、誰かが家に遊びに来るということもありませんでした。
高校には進学せず、特定の彼氏も作らなかったので、友達はいなかったというのも一因でしょう。
ただSNSに、お腹のエコー写真をアップして、コメントに返事する毎日を過ごしていました。
そうするうちに、ラブハの双子に対する気持ちの昂りは、今までに経験したことがないほど、希望に満ち溢れてきたのです。

ラブハはまだ産まれていない双子に名前を付けました。
「キララ」と「ウララ」
もちろん意味など考えているはずありません。音の響きからそう名付けたようです。

この頃のラブハは、本当に輝いていました。
今までの腐った人生とは反対に、双子の赤ちゃんのことを考えると、前向きに生きられたんでしょう。

「赤ちゃんには、カワイイ服を着せてあげたい。
二人ともお揃いで、ピンクと水色がいいわ。
ニットの帽子も、お揃いでかぶせるわ」

「毎日抱っこして、おっぱいを飲ませるの。
粉ミルクなんか使わない。母乳で育てよう。
乳首は二つあるから、ちょうどいい」

「ベビーカーは双子用。
それに乗って、ランドに行こうね。
グーフィーに頭をなでてもらおう。二人一緒にね」

「早くおやつにチョコレートケーキを食べたいね。
キラちゃんもウラちゃんも、きっと大好きなはず。
そうだわ。大きなケーキを作って、半分こしよう」

「そうだ、服もお揃いのを私が作ってあげる。
そうすればケンカなんかしないでしょ」

この頃から、少しずつ料理を始めて、慣れない針と糸の練習も苦にならなかったようです。
ラブハの想像には限界がありませんでした。
今まで何も考えていなかったあの子が、まるで嘘のようでした。
金銭的に不自由しない毎日を送る術を身に付けていたラブハは、どんな希望も叶うと信じていられたのでしょう。

「二人とも大切に可愛がるわ。
なんでも平等にしてあげる。
全部私がしてあげるからね・・・」

作品名:双児宮 作家名:亨利(ヘンリー)