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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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馨の結婚(第一部)(1~18)

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喫茶店を出て園山さんと別れ、家に帰るまでの間、僕はずっと悩み続けていた。



「僕が園山さんを助けたのは、彼女に好意があるからだろうか?」

「ああすれば彼女が僕に振り向いてくれるだろうと期待していたんだろうか?」

「いや、たとえ本当にただの友達だったとしても、それに、何の関係もない赤の他人だったとしても、僕はあんなことを許しはしない!」

「でも、もしかしたら…」



今度の僕は、その四つの上をぐるりぐるりとまた旋回していた。

もし、彼女に今、僕の気持ちを打ち明けたとしたら、今日彼女に言ったことは皆、下心があってのことと受け取られるかもしれない。それに、今じゃなくても、これから先のかなり長い間、彼女がそう思うかもしれないことは否定できない。

僕は、彼女に気持ちをまた伝え損ねて、今度は爆弾まで作ってしまったような気がしていた。


電車の吊り革に掴まりながら、駅の人ごみの中を縫うように進みながら、家への道を歩きながら。それらすべてをいつも通りにこなしている間に、僕の頭はどんどん加速し、気持ちはどんどん落ち込んでいった。


でも、今日彼女と歩み寄れたことが嬉しかった。それで、彼女への気持ちが胸に強く蘇る。その時にまた、「良からぬ気持ちで彼女を助けたのか」と思って、自分を責めた。


困っている誰かを助ける動機がもしそんなものだとしたら、僕は自分が不純だと知らざるを得ない。それに、そんな気持ちで助けられたのだと彼女が知ったら、彼女は傷ついてしまうし、僕達が良い友達でいられる保証だってない。


帰宅した後も、そうした拭い去れない罪悪感と、また強く込み上げた恋心が僕を苦しめ、ベッドに沈む頃には頭がくたびれて動かなくなっていた。



一瞬だけ静かになった僕の頭に、空っぽの色の文字が浮かぶ。



「僕はいつ、彼女に言えば良かったんだろう?」



その答えは、夜明けを過ぎても出なかった。