短編集 くらしの中で
その二
まず十代から二十代にかけての自分と友人達の比較を書きます。
私は苦しい交友関係だった中学時代を抜け出せた高校生活はほっとする場所であり、又勉学とピアノの練習にいそしむ三年間だった。
一年生の時はこれといった友達もなく何となく過ぎ、二年生になって女の友達と仲良くなって放課後には英語の単語の試験をし合ったり、休みの日には隣町の蜜柑園に出かけたり、家に来て遊んだりととてもうれしい一年間を過ごした。三年生になると何故か別の友達と仲良くなって、これも密な付き合いをし卒業後の不遇時代にはずっと自宅を訪問してくれた。
勉強をしたクラスは三年間同じメンーだったので、女子はグループが出来ていたけれど人数が少なかったので全員がさらっと仲良くできていた。希望に燃えていた高校生活が終ろうとする受験シーズンにはそれぞれ希望の大学に入学した同級生ではあったが、私はひとり病床に引きこもり哀れな一年間を過ごした。入学した音大は休学という形ではあったけれど学校に行くこともなく三年後退学をした。
他の同級生は全員大学や専門学校を卒業し、就職をし結婚もした。私の不遇の時代は長く続き無念の青春時代を送った二十代であった。最終は六年も遅れての大学進学だったので、希望の学校でもなかったし、学友も年齢が違うので巧く行かなかったけれど、それなりに四年間過ごしてやっとの思いで卒業した。
卒業と同時に私は結婚し、立て続けに女の子二人を出産し、波乱万丈の夫婦と子供との生活が始まった。ほとんどの同級生とはそれっきりで音沙汰もなく、二人の子供を育てながらなんとか歩き出していた。
作品名:短編集 くらしの中で 作家名:笹峰霧子