短編集 くらしの中で
赤組白組 その一
つまり勝ち組と負け組である。
それは絶対値ではなく年代別に変わって行く。
これを書いている現時点では「健康で意欲があるかどうか」で赤白が決まる年代になったけれど、ついこの間までは違っていた。
上から下がって振り返ってみよう。
十年前は知り合いの内、寡婦になった者はほとんどいなかった。
私も含めてみんな連れ合いも元気。その夫婦生活が如何に満足しているかが勝ち組負け組を決めていた。
私はそれ以前にはもう白組だった。多分周囲の者は憐憫の眼で私の家族を見ていただろう。
中年といえる40代50代はその差がもっとひどかった。連れ合いも子供も順調な者は私のような境遇の者へ、もろに顕わにする軽蔑の視線があったには相違ないが、当の私はそれにさえ気づかず、それどころじゃなかった。
子供を持つ友人は遊学中という者もいてどこの大学へ入ったかも差をつける。
三十代、子供が居ても居なくても夫婦が中心。親と同居している場合はその関係も関わってくる。
二十代、まさに十代の青春時代が花拓く時だ。結婚して子供がいる者、結婚はせず仕事に頑張っている人。容貌も人生で最高にきれいな年代なので、物事が順調であれば幸せ者といえよう。
この各年代がどのように変化していくのかは、それぞれである。
作品名:短編集 くらしの中で 作家名:笹峰霧子