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短編集 くらしの中で

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その三


翌日の朝、インターフォンが鳴った。
顔が写るので誰が押しているのかわかる。

ドキッとした。

インターフォンは何度も何度も鳴らされた。
ピンポーンピンポーン!!
早く開けろと言わんばかりの押し方だ。

木戸から駐車場に回る後ろ姿が写った。
背伸びしたら敷地の内部が見える。


昼前食事の支度をしているとき二度目のインターフォンが鳴った。
何度も鳴った。ここで私が出たら元の木阿弥だ。
コロナ禍のなか二三日に一度は来て長々としゃべるだろう。

がんばろう!
と鳴りやむのを待った。

午後四時に又インターフォンが鳴る。
夕食の支度をしようかなと思う時間帯だ。
これまでも相手が来るのはいつも食事前か食事の準備をする時間帯だった。

第一日目は三回で諦めたようだ。



作品名:短編集 くらしの中で 作家名:笹峰霧子