短編集 くらしの中で
その二
この度コロナの時代がやってきたのは降かかって来た難儀を締め出すには恰好の時期であった。
これ以上長引かせては取り返しがつかないという危惧を払いのけることができるのは今しかないとの思いだ。
家の門の鍵を終日締め切った。
念のため何を言っても聞き分けのない相手だとわかっていても、一応コロナだから人と会わないと伝えておいた。
もともと来客の少ない我が家なので来る人はほぼわかっている。
宅配はインターフォンを押すのですぐに門の鍵を開けに走る。
(門までのアプローチがかなり長いので運動になる)
近隣のお馴染みさんには用事の時は電話をすれば門を開けると伝えてある。
金融機関のご挨拶は門前でお断りをする。
目指す相手の鳴らすインターフォンだけには断固として応答しない。
さて、その結果どうなったか。
作品名:短編集 くらしの中で 作家名:笹峰霧子