引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
とはいえ、このゲームに性犯罪者予備軍が集まるというのは、気持ち悪いものがある。
竹内さんはこの認識は有るのだろうか、いや知らない方がいいだろう。
それにしても……わざわざプレイヤーキャラの肉体まで細部に作り込むのは、やりすぎではないか? 性が目的にこのゲームのをやるのはわかるが、それが目的でない人まで一律に性器を表現してしまうなんて、なにか大きな意味が込められてる気がしてきた。
まさかバーチャルで出産や子育てができるわけでもないだろうし
気になって清十郎は公式サイトを調べると
バーチャル妊娠と出産ができるようになってる。男でもゲーム内の性別設定を女にしておけば、出産を体験できるという。
まさか息子にバーチャルな妻や子供がいるとかないよな……もしくは息子自身が女で出産してて……
それにしても息子をどやって探すのか? 予め方法論について調べたが、息子のキャラクター情報が分からないことには、探しようがないらしい。竹内さんも事情は同じだろう。
息子を探すのは魔法のマントを探すくらい雲を掴むようなもので、困難が予想される。
清十郎は思った。この世界で息子に会うには消極的ではダメだろう。広く人脈を確保していかないと。その為には先程のパレードみたいな派手な演出をこっちからもする側にならないといけない。
それこそ先生の言っていたことが思い出される。信頼関係を得るには都合の良い人にならなければいけない。
しかし、何をもってして都合の良い人になれるのか?
人を助ければいいのか?
街を歩いていると、人々が広場に集まってる。求人広告を見ているようだ。
この世界には独自の通貨があるらしく、アイテムを売買したり、バーチャル子供を教育する家庭教師のバイトがあったり、保育園があったり
衣食住の必要性がないバーチャルな肉体だが、衣食住ビジネスがあるようで、
革新的デザインの服をつくったら、売れるらしく、美味い料理を作ればそれも売れる。土地や家はただ眺めるだけのコレクション的な意味しかないそうだが、それでもオカネが動いている。
清十郎は
バーチャルなモノ作りについて、少し興味があった。物理法則が現実世界とは異なるから、変わったものが作れるらしい。
武器や魔法武具、果ては魔法そのものまで、このゲームの世界で有り得る事は何でも可能であるそう。
清十郎は街を散策する際に、連れてきた仲間がいる。竹内にも話してないがゴーストが清十郎の頭の上に乗ってる。ゴースト仲良くなる過程で、ペットの様に懐かれたのだが、プレイヤー狩りをしている間にいろいろと気付いたことがあって……
ゴーストとはテレパシーで会話が可能なのだ。簡単ではないが強く意識を集中させると、ある程度簡単なコミュニケーションができてしまう。
今はゴーストが迷子にならない様に頭の上に乗せている
またゴーストは物体を、すり抜けられるそうで、これからの街の探索に役に立ちそうである。
神様おしえて
竹内は髪の毛を一本抜くぬつもりが、間違って2本抜いてしまった。
神様のお告げの威力が二倍になった気がした。神様の圧が二倍。
髪の毛はもういい、というお告げがきた。。
息子の手掛かりを得るには、もっと違う供え物が必要らしいが、何を捧げるかの回答はなく、自身で考えなさい、ということだろうか
何をささげれたらいいのか、考えながら竹内は歩いていた。不注意で、一人の女性と肩がぶつかった。互いにぶつかった拍子にバランスを崩しそうになる。
「ごめんなさい、あれこれ考え事してたもので」
竹内の言葉に被さるように
「いいんだ、こっちこそ、よそ見をしていてね、すまない」
女はそういうと、足早にかけていった。道先に誰かを追いかけてる様で
〜追いかけられてる男の視点〜
俺はアイツにストーカーされてて、困っている。ログアウトすればいいのだが、腕を折られてログアウトボタンにタッチできない。回復材は奪われたし、魔法呪文が唱えられない様に喉も潰されてしまった。
街中にはテレポートスポットがあるから、そこまで行けば、きっと逃げきれる。
誰かに助けて欲しいが、助けを求められないのは辛い。助けを求めた相手はきっと………
とにかく、つかまる訳にはいかない。
◆
やはり、困った人を助けるのがゲームの王道である。
街を探索中の清十郎たちは、ゲームの匂いを嗅ぎつけた
清十郎は大衆の集まりに気付いた。大衆は広場で求人広告見ていた。
人の頭が邪魔で見えない。仕方ないから公式サイトから情報を見る
気になるものを見つけた。
内容は、この世界で引きこもりの子供の探している、というものだった。他には魔法武具の開発手伝い。ドラゴン退治。ゴーストハントのいるパーティーを募集等々…
ゴーストハントのパーティー募集内容には、「森の中に幽霊屋敷があり、その屋敷の探索に能力を貸して欲しい。」と書かれている。面白そうだが、竹内は幽霊を怖がり絶対に嫌だという。
清十郎は何をするべきか思案していた。選択肢が多すぎて、どれを選んでいいのかわからない。
初心者でも可能な仕事をさがしていたら、一番簡単なのが「魔法武具開発のお手伝い」で、とりあえず、選択した。
魔法武具の手伝いに行く前に、引きこもりの子を探してるという人にメッセージを送っておいた。
内容は
自分たちと同じ境遇である同士であること、引きこもり同士がパートナーを組んでるかもしれないので、ひとり見つかれば、芋ずる式に見つかるかもしれない事。お互いに情報交換ができるかもしれないこと。情報収集の為に人脈を広げたいので、今から自分たちは魔法武具作成の手伝いに参加するので、良かったら御一緒しませんか? という内容を送った。
街の中には至る所にテレポートスポットがあり、目的地を念じると、その場所へ連れて行ってくれる。
知ってるダンジョンなら テレポートスポットから行ける。宇宙に散らばるダンジョンも場所さえ知っていればテレポートスポットから移動できる。つまりネットから場所の情報を得ておけばここから自由に行ける。
魔法武具作成の手伝い場所は街番号2883番地5にあり、清十郎と竹内はその番号を念じてテレポートした。
テレポートした先は図書館の様な場所だった。どうやら魔法書物がある図書館である。何処に行けばいいのか迷っていると、視界にナビゲーションシステムが起動した。ここに来る前に広告見てきた経緯をゲーム世界が自動的に判断し、何処に行けばいいか案内してくれる。案内を省いて、直接依頼主にテレポートもしてくれるらしい。
清十郎達は図書館内を見てみたいのでテレポートはしなかった。
書物には魔法の使い方が記されていて、呪文や魔法陣が掲載されてる。試しに唱えてみるが何も起こらない。MPが足りないらしく低レベル魔法をチョイスして使ってみる。燃やしたい場所を念じて唱えると発動する。
清十郎「ファイアー!」
活き良く書物が燃えたが、しばらくして書物は再生された。MPは5%程削られた。
素手より威力はあるだろうが
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中