引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
竹内の目的は、この爆発を他プレイヤーに目撃してもらって、自分の存在に気付いて貰うことにある。そうしてゲームの攻略のヒントをプレイヤーから教えてもらおうとの考えたのだった。
しかし、誰も来ることは無かった。いくつ銀河を爆発させても、誰からの返事もない。
困った竹内。あれこれ考えるも答えが出なかったのイライラしてきた。
やけになってスピードの限界の限界を出した。光の速度の何兆倍を超える速度でスピードを出した。すると突然、目の前が眩しくなる。視界が光で一杯になる。
竹内はここが何処だ分からなかった。宇宙はどこに行ったのだろうか。
竹内は白い世界の中で、さ迷い続けた。
もうどうしていいかわからない竹内。
諦めてログアウトボタンを押そうとしたそのとき、視界のはるか彼方に黒い点が見えていたことに気付いた。
竹内は黒い点に向かって突き進んだ
しかし、
どれだけ、進んでもとどかない
黒い点に近づいてる実感がない。もっとスピードを上げなければ。もっともっと
もっともっと
もっともっと
もっともっと
頑張り過ぎて疲れた竹内。
そろそろログアウトして、このことを清十郎さんに相談しよう。
竹内はログアウトの前にひとつだけ、やってみたいことを閃いた。あくまでもおふざけによるものだ。
竹内はゲーム開始の職業選択で、占い師を選んでいた。竹内はリアルの世界では占いにハマりすぎて、高額なツボを買わされたりしたし、オ〇ム心理教に入信していたともあるくらいの、オカルトマニアである。
しかし、
竹内は占い師の職業を選んだものの、イマイチその技(スキル)の使い方が分からないでいた。
わからないなりに、一応、占い師の真似をしてみる竹内。
「神様、かみさまーかみさまー」
神に念じるが何も起きない
(ノw`*)ネ申
愛嬌だしてもだめだった。
仏教やイスラム教、あらゆる宗派を超えてお願いしてもなにも起らない
('`ァ'`) . 。o (ダメだこりゃww)
諦めてログアウトを押そうとした時、竹内は思い付いた。清十郎のダークサイドな価値観について、それがゲーム攻略のヒントになるとしたら
黒魔術やブードゥー教には、恵を得ようと思えば、何らかの生け贄を捧げるのが慣例になっている。イスラム教でも殉職はあの世の天国にいけるとされている。
たとえば命を捧げるなら、『 あの世』への扉が開くとか
竹内は意を決してマントを脱ぎ捨てた。高いところから落ちる恐怖に比べたら、視界に何も見えないのだから怖く感じなかった。
思い切ってマントを脱ぎ捨てた竹内。
だがその瞬間、GAME OVERの文字が視界に現れる。その文字の下には、数字のカウトダウンが始まっていて、コンテニューするか、ログアウトするかの二つの選択肢が現れる
竹内は、これが初めて経験するGAME OVERだった。今まではHPが0になる過程の痛みに恐怖して、GAME OVERになる前にログアウトしていたからだ。
なのでコンテニューを押したら、どうなるのか気になる
コンテニューを選んだ竹内はHPが半分の状態でマントを装備したまま、その場から再開した。
ホット胸をなで下ろした竹内。最初のダンジョンから始まってしまうだけならまだしも、、マントを失ってスタート地点に戻るとかなら、清十郎さん申し訳ない。
竹内は再度白い世界を見渡しながら、思った。
命を捧げるのはやりすぎったか? なら血を生け贄にするのはどうか?
しかし、竹内は鋭利なものをもってない。
惑星までもどって、石とかで傷をつけるか?
それは面倒くさい。
ここでコンテニューできたのだから、ここで解決できるのではないか?
何を捧げるか?
神様にささげるもの
かみさまに捧げるもの
そういえば神という漢字は
ネ申
ねもうす。寝申す
まさかの? 寝ること? 寝ている隙に神が自分をどこかに運んでくれるのかな。それとも寝ている間にイヤラシイこととかを
女の命は髪というし、案外ギャグっぽく、神=髪
だったりして
時間の都合上、寝るより髪を抜くことにした。
一本ぷちっと引き抜き、神様にお願いする
嗚呼、神様! たいして若くもない毛ですがどうですか?
ご不満とあらば下の毛も……
瞬間脳裏によぎるものがある。神の意志が降りてきた感覚を得た竹内。優しい何かに包まれた気分で、神の意思を承った。
「清十郎さん、次に何をすればいいかわかりましたよ。」
そうつぶやき、竹内はログアウトした。
清十郎は竹内の占いを参考に次に何をすれば良いのかを教えてもらった。
やることはプレイヤーが二人一組になり、宇宙の壁につっこむこと。
一人で宇宙の壁に突っ込んでも、宇宙は一緒に引っ張られてついてプレイヤーのうしろを来るだけであり、その先の黒い点(ゴール)には辿りつけない。
しかし、反対側の宇宙の壁も、もう一人のプレイヤーが突っ込むと、宇宙は内側から外側へ引っ張られるカタチになり、宇宙は膨張して破裂する。すると、黒い点(ゴール)の世界にいける。
竹内から聞いた話を実践する前に、もう一つのマントが必要になるだろう。しかし、ダンジョン内で見つけたアイテムは使うと復活しないみたいで、探せばもう一つマントが隠されているのか。あるいは広い宇宙から、探さないといけないのか。
二人にはマントを探す課題が発生した訳だが、そのマントを最も手軽に手に入れる方法を二人は知ってる。ネットオークションで買うのだ。
探すのが面倒なら買うしかない。マント探しに竹内の占い師のスキルを使ってもヒントはなかったから買うしかない。
しかし、ネットオークションの金額を見て二人は驚いた。1000万円である。
魔法のマントは特殊レアアイテムであり、端末一つ、ログインID一つにつき、一つしかゲーム内で手に入らない仕組みになっている。新しく端末を買っても、端末が脳内ニューロンパターンを認識、識別してゲーム経験者かどうかを判定し、そのゲームではマントが出現しない。
つまり、手に入らない。
知り合いの経験者を探してマントを貸してもらうとしても、1000万円もするものをおいそれと貸してくれるとも思えない。
清十郎と竹内は、コツコツとマント探しする旅に出るしかないのであった……
清十郎は攻略サイトで調べた。
魔法のマントはダンジョン内に一つあり、残りはダンジョン外にあるとされ、どこにあるかはランダムで決まるそうだ。
清十郎は一旦マントを探すのを諦める事にした。ダンジョン外は宇宙を含めて膨大であり、探していたら他を楽しむ余裕がなくなる。
清十郎は獲得したアイテムの紐に疑問を持った。擦ると伸びる引っ張れば縮む。この紐を伸ばして、ダンジョンから降りる為のハシゴの様にしたとしても、身体の重みで紐は引っ張られ、縮む。ハシゴとしては使えない
ではこの魔法の紐(ロープ)は何に使うべきものなのか。
「竹内さん、どうですか?」
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中