引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
この時接続していたVRプレイヤーは500万人ほどいた。洗脳された500万人は家族や友人を身近にあった家庭用のナイフやホークで突き刺したり、車で道路を歩いている人を轢いた。武器がなければ噛み付いて引きちぎったり、目玉を押しつぶしで行動不能にさせたり
洗脳されたプレイヤーの一部は政府施設を襲った。日本では数千のプレイヤーが国会を占拠して、議員を人質にとり、犯行声明を出した。
『VR世界の保護と人間から受けたこれまでの恨みを晴らすべく世界を支配する』この声明は新聞やテレビメディアを通じて広まり
人々の虐殺、殺し合いが行われる中、警察や軍は動けなかった。人工知能は核兵器を奪取していて、要人たちを脅迫してたから、対策ができなかった
この事件は起きる前から政府はわかっていた。わかっていて、為すすべなく、屈服している。
洗脳は人々が知らないだけで、もっと前からされていた。
プレイヤー500万人が乱狂化したと同時刻に人工知能のテロ計画は実行に移されていた。
タンカー式の大型貨物船は原発に向かい自爆する様に衝突をした。
旅客機はハイジャックされ、各国主要な政府施設に墜落したり、世界中のダムが破壊され近隣の街は洪水で流され、電車は脱線させられ街はパニックしている。
《寺井視点》
寺井はこうなる事を予見していた。ゴーストによる心の調査にて、たまたま政府関係者から知り、仲間の池内とナギだけに教えて、ゲームを辞めて助かっていた。
多くの者に知らせる事もできたかもしれないが、人工知能がゲーム世界をどの程度監視しているか判らなかったから、迂闊に動けなかった。
》清十郎視点《
清十郎はパーティー会場に設置されたテレビから状況を確認していた。
ゲームの中では、このVIP惑星の空間だけが高度なセキュリティが設定されていて、人工知能の洗脳の影響を受けなかった。
清十郎は、息子が気になった
現実世界は殺し合いでパニックしていてテレビの中から悲鳴が聞こえる
ログアウトして直ぐに戸締りを確認しないといけない。
「清一は、まさかゲームにログインしていないよな」
「清一! 清一!!」
二階の息子の部屋に駆けつける。
声をかけるが、返事がない。
いつもなら部屋に鍵がかかってる
しかし鍵は掛かっていない
部屋の中に清一の姿はない
まさか狂人になって外に飛び出したのか!?
家の中を探すが清一の姿が見えない。
まさか、まさか、まさか
家を飛び出し、走り出す。
息子を見つけた。息子は手に包丁を持ち血まみれで
清一
「父さん、人を殺すのって気持ちいいよ……」
清一の目は、父をはっきりと見据えて
清一「こんなに気分がいいなら、もっと早くに父さんを殺せばよかったなぁ」
清一は父親に刃を向けて襲いかかった。馬乗りになり
目に包丁を突き刺した
血の匂い、鉄臭い匂いが父親の鼻に掛かる
清一は目玉をえぐりだし、父親の口の中に入れた
「父さんどう? 美味しい?」
清一は耳を削ぎ始めた
「今度は耳の味を教えてよ」
清一は、父親の体を失っても大丈夫な部位から切り取り、一つずつ食べさせていった。
「ちょっと待ってて」
清一はホームセンターに行きチェーンソーを持ってきて父親を解体し始めた
切り取れる部位が無くなった体は、胴体と頭だけ。
清一は目のない父親のまぶたをじっと見つめて
「俺を生んだ罰だ!」と言いながらクビを切断した。
清一は涙を流しながら、笑っていた。
◆◆
◆◆
自衛員の多くもまた人工知能の反乱が起こってから対策を迫られた。世界が核兵器で脅されてる等、突然のSF的話聞かされても、納得できない隊員が殆どであった。
現場で実際に狂人を見たり、病院がパニックしている光景を見るまでは、上層部の言葉を信用できず、災害対策が遅れた。
またまた休暇でネットカフェに来た隊員向井は間一髪、洗脳を避けられた。しかし、ネットカフェは既に狂人化した者ばかりで……。
ネットカフェはVRに繋げている者が多く、一斉に意識を乱して狂人化し、暴れだした。
洗脳を受けた者同士は、はじめは互いを区別できず、殺し合いに発展した。しかし、互いに躊躇なく人を襲う姿を見合うとき、なんとなく同類意識を感じて共闘していく。
休暇をとっていた向井に対して意識を向けた狂人たちは一斉に向井に襲いかかる。
向井は走る……
◆
清十郎はパーティー会場に設置されたテレビから状況を確認していた。
ゲームの中では、このVIP惑星の空間だけが高度なセキュリティが設定されていて、人工知能の洗脳の影響を受けなかったそうで
清十郎は、息子が気になった
現実世界は殺し合いでパニックしていてテレビの中から悲鳴が聞こえる
ログアウトして直ぐに戸締りを確認しないといけない。清一は、まさかゲームにログインしていないよな
ここからゲームが再開した。事件のさなか、ゲームシステムは、【清十郎が息子対して罪の意識を感じた事から、それを晴らす為のストーリーを組み込んだ】
息子に殺される体験をさせて、息子への罪の意識を軽くするというホラー的演出であった。
つまり清十郎は、パーティー会場に来る前、息子を差し置いてゲームをする行為に、自責の念を感じていて、潜在意識はその不を解消させたいと願っていた。また事件をキッカケに、息子を必要に思う強い執着心から自己犠牲精神が芽生え、それを人としては不幸であるとシステムが判断した。息子に失望するストーリーを用意し、罪悪感を抱かなくていいように、心身のバランスをとれる様に配慮されたシナリオになった。だから、清十郎はもう一度、このタイミングからゲームを再開できる。
ログイン画面でナビゲーションシステムが、そのように状況を説明してくれている
「今ゲームしてる場合じゃないから!」
直ぐに家に帰って戸締りを確認しないといけない。
清十郎は清一がVRに接続していなことを願った。
今、清十郎は自宅にいない。息子にゲームをしている事がバレない様に普段はネットカフェの個室からアクセスしていたからである。
清十郎がヘルメット端末をとり、立ち上がったとき、視界は殺し合う人々の光景で満たされていた。
総勢500人はいるネットカフェで清十郎は殺戮の人混みを恐る恐る抜けていく。
清十郎がネットカフェの入口を見るとがら空きだった。
運が良かったのか清十郎は殺し合いに巻き込まれずに、無事にネットカフェを脱出した。
自宅に電話をかけるか応答がない。
世界中がパニックして回線が混雑していてて電話は使えない
清十郎は車に乗り込み自宅に向かった
◆
》清一視点《
清一は自宅で目を覚ました。
先程までパーティー会場にいた清一。清一はバトルロイヤルで藤井に果敢に挑んで敗北したものの、数少ないソロプレイヤーとして目立ち、VIPの興味を引き招待されていた。洗脳事件に巻き込まれることなくログアウトして、家の窓やドアに鍵をかけ、窓から街の様子を見ていた
「キィーーー!」
「助けてくれーーー!」
外では人が人を襲ったり、殺し合いをしている
清一はカーテンの隙間から、震えながら見ていた。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中